セッション情報 一般演題

タイトル 079:

集学的治療により長期生存が得られている混合型肝細胞癌術後腹膜播種再発の一例

演者 森田 俊(公立八女総合病院消化器内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院消化器内科), 堤 翼(公立八女総合病院消化器内科), 平井 真吾(公立八女総合病院消化器内科), 城野 智毅(公立八女総合病院消化器内科), 徳安 秀紀(公立八女総合病院消化器内科), 小野 典之(公立八女総合病院消化器内科), 鳥村 拓司(久留米大学消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【はじめに】腹膜播種を伴う肝癌は予後不良である。今回、ソラフェニブは不応であったが、ほか抗がん剤による集学的治療により長期生存が得られている症例を経験したので報告する。【症例】61歳、男性。B型およびC型慢性肝炎を有していたが、C型慢性肝炎に対しては1998年にインターフェロン療法でSVR、B型慢性肝炎に対しては核酸アナログ製剤でウイルスは陰性化している。2006年9月に肝S4に腫瘍径17mmの腫瘍性病変を認め、明らかな遠隔転移や肝内転移は認めておらず、肝内側区域切除術を施行した。術後病理検査は、Combined hepatocellular carcinoma and cholangiocellular carcinomaで漿膜浸潤を認め、横隔膜および後腹膜にも転移を伴っていた。2007年1月から腹膜播種に対しCVポートを留置し、CDDP20mg+5FU1250mgを用いた全身化学療法を開始した。しかし5回目にCDDPアレルギーが出現し、効果もPDとなったため、2007年3月からS-1+GEMに変更した。労作時の息切れ出現により2008年9月からはS-1単剤とした。2009年12月に腫瘍マーカー上昇のため、ソラフェニブ800mgへ変更した。副作用のHFSが強く減量するも改善なく、効果もPDとなり、2010年2月から再度S-1単剤に変更した。腹膜播種の悪化が出現し、2010年12月からはmFOLFOX6+BVを開始、bi-weeklyに6回施行したが手指のしびれが増強し、2011年3月FOLFIRIへ変更した。口内炎が強く出現したため、2010年4月5日からXELOXを開始した。これもオキサリプラチンの副作用や腫瘍マーカー上昇で中止となった。肝癌組織を用いた遺伝子検査でKRAS野生型、EGFR陽性であったため、2011年7月からCetuximab+CPT-11による治療を開始した。その後、腹膜播種は緩徐に増悪しているものの、他臓器での再発や機能障害、副作用もなく全身状態も良好に経過している。【まとめ】今回、混合型肝細胞癌切除後の腹膜播種に対し、各種抗がん剤が不応、または副作用で継続困難となったのちにCetuximab+CPT-11が一定の効果を示す症例を経験した。混合型肝癌腹膜播種の診断から6年7か月生存経過中である。
索引用語 腹膜播種, 集学的治療