セッション情報 | ワークショップ4「炎症性腸疾患 最近の治療」 |
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タイトル | WS4-13:クローン病における抗TNFα抗体製剤投与が外科手術に及ぼす影響 |
演者 | 池田 拓人(宮崎大学腫瘍機能制御外科) |
共同演者 | 中島 真也(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 石崎 秀信(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 前原 直樹(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 土屋 和代(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 南 史朗(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 内山 周一郎(都城市郡医師会病院 外科), 佛坂 正幸(潤和会記念病院 外科), 千々岩 一男(宮崎大学腫瘍機能制御外科) |
抄録 | [はじめに] 抗TNF-α抗体製剤により,クローン病の治療は大きく変化した.それに伴い,外科手術に与える影響として,術後合併症発生頻度の増加,病態の複雑化による術中出血量の増加,手術時間の延長,などが危惧される.一方,手術回数の減少,切除腸管長の短縮などのメリットも考えられる.当科で施行したクローン病の外科手術に対する抗TNF-α製剤の影響を検討した.[対象と方法] 当科において2003年2月から2013年7月までにクローン病の消化管病変にたいし外科手術を施行した症例,73例を対象とした.男女比は50:23と男性が多かった.このうち抗TNF-α抗体製剤(レミケード)投与症例17例(以後レミ群),非投与症例56例(以後非レミ群)とで手術時間,術中出血量,切除小腸長,残存小腸長,術後合併症の有無を検討した.病悩期間はレミ群/非レミ群で10.7±2.25年/11.1±8.33年(平均±標準偏差)P=0.871で,過去の手術既往をあわせた手術回数は,同じく1.53±0.8/1.67±0.92回 (P=0.566)であり有意差はなかった.施行術式は様々であったが腹腔鏡手術 (Lap)/開腹手術 (Open)の割合はレミ群で9/8,非レミ群で16/40 (P=0.04)と有意にレミ群でLapが多かった.[結果] レミ群/非レミ群で,術中出血量743.4±648.6ml/650.0±585.6ml (P=0.658),切除小腸長30.7±24.8cm/21.6±21.3cm (P=0.117),残存小腸長 264.4±101.7cm/261.0±107.7cm (P=0.872).術後合併症の頻度58.8%/41.5% (P=0.210)と有意差は認めなかったが,手術時間は413.2±143.5分/331.0±144.0 (P=0.043)とレミ群で有意に長かった.[考察] レミ群と非レミ群との間では,術中出血量,切除小腸長,残存小腸長,術後合併症発生率において有意差は認めなかった.レミ群で手術時間が延長しており,手術難易度が上昇している可能性が示唆された. |
索引用語 | クローン病, 外科治療 |