セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研35:

消化器疾患との鑑別に苦慮した後腹膜腫瘍の2例

演者 島崎 綾子(健康保険諫早総合病院外科)
共同演者 福田 明子(健康保険諫早総合病院外科), 馬場 雅之(健康保険諫早総合病院外科), 飛永 修一(健康保険諫早総合病院外科), 小松 英明(健康保険諫早総合病院外科), 山口 広之(健康保険諫早総合病院外科), 大場 一生(健康保険諫早総合病院消化器内科), 中島 正洋(長崎大学病院原研病理)
抄録 【緒言】今回、消化器疾患との鑑別に苦慮した後腹膜腫瘍の2例を経験したので文献的考察を含め報告する。
【症例1】57歳男性。2010年10月検診の内視鏡で胃上部後壁に異常を指摘され。精査にて径約5cmの胃粘膜下腫瘍の診断で外科紹介。全麻下に開腹すると腫瘍は左上腹部後腹膜下に存在し、胃壁との連続性は無かったため腫瘍摘出術施行した。病理診断はGIST:c-kit陽性、high riskであった。術後、胃機能性障害が出現し高度の食欲不振持続したため補助化学療法施行することなく経過観察していたところ、15か月目後腹膜の巨大腫瘍として局所再発した。グリベック投与を開始し腫瘍縮小効果が得られ依然遠隔転移も認めていない。
【症例2】79歳女性。2012年12月、不明熱、低血糖発作など腫瘍随伴症候群を疑わす兆候で発症し精査を受けたところ、左上腹部に径約15cmの巨大腫瘍を指摘された。膵腫瘍やGIST、SFTなどを疑われ経皮的組織生検行うも病理診断確定せず外科紹介になった。切除不能の可能性も高かったが組織生検も兼ねて、全麻下に開腹した。最終的に膵体尾部切除、脾摘術とともに腫瘍摘出が達成された。術後は徐々に回復し自宅退院となった。術後の病理診断は後腹膜慢性膨張性血腫であり、腫瘍性局面は認められなかった。
【結語】後腹膜腫瘍の多くは組織学的診断が確定できないことが多く、診療に苦慮することが少なくない。可能な範囲で適応は決定されるべきであるが、腫瘍摘出術はやはり診断と治療を兼ねる最も良い手段と考えられる。
索引用語 後腹膜腫瘍, 鑑別