セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研25:

上行結腸軸捻転症の一例

演者 太田 賢治(国立病院機構長崎医療センター外科)
共同演者 永田 康浩(国立病院機構長崎医療センター外科), 平山 昂仙(国立病院機構長崎医療センター外科), 濱田 聖暁(国立病院機構長崎医療センター外科), 永吉 茂樹(国立病院機構長崎医療センター外科), 野中 隆(国立病院機構長崎医療センター外科), 徳永 隆幸(国立病院機構長崎医療センター外科), 北島 知夫(国立病院機構長崎医療センター外科), 蒲原 行雄(国立病院機構長崎医療センター外科), 前田 茂人(国立病院機構長崎医療センター外科), 藤岡 ひかる(国立病院機構長崎医療センター外科)
抄録 結腸軸捻転は、長くて後腹膜に固定されていないS状結腸に多く、上行結腸では稀である。今回、腸管回転異常を伴わない上行結腸軸捻転症を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。症例は70歳代、男性。胃潰瘍に対する胃切除、下肢動脈閉塞に対する左下肢切断・下肢動脈バイパス術、脳梗塞の既往があり、糖尿病を合併。突然の腹痛を自覚し、イレウスの診断で当院へ緊急搬送された。上腹部正中に手術創あり。腹部は膨満し、上腹部中心の圧痛と腹膜刺激症状を認めた。CTで腹水貯留と上行結腸間膜の反時計方向への捻転を認めたことから、上行結腸軸捻転による腸閉塞と診断し緊急手術を行った。盲腸から上行結腸は後腹膜に固定されておらず、腹部正中創に癒着した横行結腸を支点として捻転を生じていた。壊死した上行結腸を切除し回腸・結腸吻合術を行った。術後は、たこつぼ型心筋症による心不全、敗血症による腎不全、さらにARDSから呼吸不全を併発したが、集中管理により軽快し第38病日に転院となった。
本症例の軸捻転発症機序については、横行結腸が正中創部に癒着し支点となり、固定されていなかった盲腸・上行結腸に軸捻転が生じたと考えられた。
索引用語 結腸軸捻転, 腸閉塞