セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研39:

DIC、腎不全を伴う急性胆管炎が疑われたレプトスピラ症の1例

演者 吉田 崇志(公益社団法人鹿児島共済会南風病院)
共同演者 中島 一壽(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 柴藤 俊彦(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 迫 勝巳(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 小森園 康二(公益社団法人鹿児島共済会南風病院)
抄録 【症例】64歳、男性【主訴】黄疸、発熱、腓腹筋痛【既往歴】高血圧【現病歴】2013年3月18日、感冒症状が出現し市販薬を内服していた。3月25日、3月29日に山に筍を採りに行った。3月30日頃より急に食思不振、全身倦怠感出現し、4月3日近医を受診した。TB上昇、腎機能低下、血小板減少、紫斑を認め、DICと腎不全を伴う急性胆管炎が疑われ、4月5日当院紹介入院となった。【入院時現症】BT 37.0℃ 、BP 82/43mmHg、HR 150/min、意識清明【検査所見】WBC 16430/μL、血小板数 2.7 万/μL、CRP 15.2 mg/dL 、T-Bill 20.1 mg/dL、D-Bill 17.3 mg/dL、AST 73 IU/L、ALT 77 IU/L、ALP 346 IU/L、γ-GTP 55IU/L、CPK 264 IU/L、BUN 118.4 mg/dL、Cr 3.12 mg/dL、K 2.8 mEq/L、PCT 2<=、<10 ng/mL、黄疸 (3+)、ECG:上室性の頻拍、US:胆管拡張無し、胆嚢浮腫状【入院後経過】入院時の腹部画像所見からは閉塞性胆道疾患は認められず、腓腹筋痛などの症状よりレプトスピラ感染症も否定できなかった。そこでSM、LVFXの投与を開始し、国立感染病センターへ採尿検体を提出した。さらに血小板数2.7万と低下を認めたため血小板輸血10単位施行し、Cr 3.12、BUN 118.4と上昇し血圧低下も認めたためCHDFを開始した。入院3日目に発熱改善、入院4日目に腎機能改善し、CHDF中止した。CRPは入院9日目には陰性化した。入院11日目、採尿検体よりレプトスピラDNAが検出され、黄疸出血性レプトスピラ症(Weil病)の診断が確定した。入院14日目まで抗菌薬を使用、その後発熱なく徐々に黄疸低下し、TB 10以下に減少したため退院となった。【まとめ】黄疸出血性レプトスピラ症(Weil病)はLeptospira icterohaemorrhagiaeにより発症し、黄疸・急性腎不全・出血傾向を3主徴とする急性熱性疾患である。病状の進行は極めて早く、救命には発症5日以内の早期治療が重要といわれている。本症例は著明な黄疸、腎不全を伴う重症例であったが、早期に本疾患を疑い、抗菌薬、CHDFによる適切な治療を行うことで順調な経過をたどったと考える。
索引用語 レプトスピラ, DIC