セッション情報 一般演題

タイトル 013:

非代償性肝硬変に合併した早期胃癌に対して生体肝移植後に胃全摘術を施行した1例

演者 西村 章(九州大学病院第二外科)
共同演者 佐伯 浩司(九州大学病院第二外科), 池上 徹(九州大学病院第二外科), 二宮 瑞樹(九州大学病院第二外科), 沖 英次(九州大学病院第二外科), 吉住 朋晴(九州大学病院第二外科), 森田 勝(九州大学病院第二外科), 調 憲(九州大学病院第二外科), 前原 喜彦(九州大学病院第二外科)
抄録 【背景】現在、悪性腫瘍を併存症としてもつ患者への肝移植術について明文化されたガイドラインは存在しないが、確実な術前診断、病状に応じた適切な症例の選択と治療戦略、安定した手術技術により救命しうる症例が存在すると考える。われわれは非代償性肝硬変に早期胃癌を合併した症例を経験したので報告する。【症例】症例は64歳女性。原発性胆汁性肝硬変による非代償性肝硬変に対する肝移植目的で当科紹介となった。上部消化管内視鏡検査にて、胃体下部小弯に早期胃癌(0-IIa+IIc、por-sig、cStageIA)を指摘され、低分化型腺癌で外科切除の適応とされた。前医にて生検を施行した際には、肝不全による出血傾向と門脈圧亢進症から生検部位からの高度な出血を認めたため、止血に難渋した。肝機能はChild-Pugh C(10点)、MELD score 14点であり、肝移植術の適応と考えられた。胃癌はcStageIAの早期であるため、胃切除による根治が可能と判断し、まず肝不全・門脈圧亢進症に対して生体肝移植術を先行し、引き続き胃切除術を2期的に施行する方針とした。まず、娘をドナーとした右葉グラフトを用いた生体肝移植術および脾臓摘出術を施行した。術後経過は良好で、全身状態と肝機能および凝固能の改善がみられ、肝移植後19日目に胃切除術を施行した。肝移植術による胃小彎側の癒着は高度であったが、術中の出血はコントロール可能であった。肝移植術の際に脾臓摘出術を施行していたため、胃全摘術(D1+, Roux-en Y再建)となった。免疫抑制剤などの薬剤は術翌日に経鼻栄養チューブから再開した。胃全摘術後も合併症なく順調に経過し、生体肝移植術後37日目、胃全摘術後18日目に自宅退院となった。胃の最終病理診断は、pT1b N0 M0 StageIAであった。【まとめ】今回、非代償性肝硬変を伴う早期胃癌症例に対して、生体肝移植術を先行することにより肝機能及び凝固能の改善が得られ、胃癌に対する根治手術が安全に施行できた症例を経験したので、若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 生体肝移植後, 早期胃癌