セッション情報 一般演題

タイトル 083:

卵巣様間質を有した尾状葉原発肝粘液嚢胞性腫瘍の1例

演者 沖本 隆司(産業医科大学第1外科)
共同演者 田村 利尚(産業医科大学第1外科), 沢津橋 佑介(産業医科大学第1外科), 日暮 愛一郎(産業医科大学第1外科), 山口 幸二(産業医科大学第1外科)
抄録 卵巣様間質を有した尾状葉原発肝粘液性嚢胞腫瘍の1例産業医科大学第1外科沖本隆司、田村利尚、沢津橋佑典、日暮愛一郎、山口幸二 症例は50歳代、女性。20 XX年 X月、心窩部痛を主訴に当院内科を受診。精査の結果、十二指腸腫瘍および肝腫瘍の診断、手術加療目的に当科紹介受診。血液検査で腫瘍マーカーはいずれも正常範囲内であり、HBs抗原陰性、HBc抗体陽性、HCV抗体陰性であった。上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚Vater乳頭の口側対側に20mm大のIp型ポリープを認めた。腹部造影CTで肝S1に29mm大の腫瘤を認め、動脈相で等吸収、門脈・平衡相で低吸収であった。その他リンパ節の腫大や転移病変は認めなかった。腹部MRIでも同様に肝S1に27mm大の境界明瞭な腫瘤を認め、T1WI(脂肪抑制)で高信号、T2WIでは肝実質と等信号であり、中心部に嚢胞性領域を伴っていた。PET-CTでは十二指腸腫瘍に一致して集積亢進を認めたが、肝S1の腫瘍には異常集積を認めなかった。十二指腸腫瘍に対しESDを施行、病理検査でAdenocarcinoma in adenoma, SM2, ly(+)の診断であった。肝S1腫瘍に対し肝生検が施行されたが明らかな悪性所見は認めなかった。十二指腸癌(ESD後)T1b(SM), N0, M0, stageIA、肝腫瘍(S1)の診断に対し、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術+肝S1部分切除術を施行した。病理組織検査で肝S1病変は明らかな胆管との交通はなく、軽度の異型を示す単層の円柱上皮よりなる嚢胞性構造と卵巣様間質からなる領域を認め、肝粘液性嚢胞腫瘍(腺腫)と診断した。尾状葉原発の肝粘液性嚢胞腫瘍は非常に稀な疾患であり、肝粘液性嚢胞腺腫は粘液性嚢胞腺癌へ悪性転化するpotentialを有するとの報告もある。今回、われわれは十二指腸癌を伴う、卵巣様間質を有した尾状葉原発肝粘液性嚢胞腺腫の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝粘液性嚢胞腫瘍, 卵巣様間質