セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研22:

早期診断と集中治療により救命しえた敗血症性ショックを伴う重症CD (C. difficile) 腸炎の1例

演者 岡留 敏樹(公立学校共済組合九州中央病院臨床研修医)
共同演者 守永 晋(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科), 檜沢 一興(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科), 工藤 哲司(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科), 井原 勇太郎(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科), 江崎 幹宏(九州大学大学院病態機能内科学), 飯田 三雄(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科)
抄録 症例は71歳男性.脳出血後遺症と認知症のため全介助の状態だった.3日前から仙骨部褥瘡の感染症に対してCFPMを投与されたがショック状態となり当院へ緊急転院となった.JCS II-10、体温37.7度、心拍数137/分、血圧62/42mmHg、呼吸数36回/分で、仙骨部に10×8cmのポケット形成した褥瘡を認めた.動脈血液ガス(pH 7.35, PaCO2 23, PaO2 106, HCO3- 12.4, Lac 62)、WBC 9750/uL、BUN 87mg/dL、Cr 2.8mg/dL、CRP 28mg/dL、プロカルシトニン8.2ng/mLで、乳酸アシドーシスと腎不全を伴う敗血症性ショックと診断した.単純CTにて直腸から下行結腸に周囲脂肪織混濁を伴う著明な浮腫性肥厚を認め、壊死性腸炎鑑別のため緊急内視鏡を施行した.下部大腸には斑状の黄白色偽膜が密在し、一部は全周性に癒合拡大し著明な浮腫と粘液を伴っていた.同日のCDトキシンも陽性であり、VCM 2gを局所散布し経管投与を継続した.敗血症性ショックに対してノルエピネプリンと膠質液を含む大量輸液のうえ人工呼吸器管理下に持続的血液濾過透析(CHDF)を行い、エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)を開始した.第2病日のDICスコア7でAt IIIは44%であったため、トロンボモジュリンとAt III製剤を追加した.血液培養にてPeptostreptcoccusを検出し、抗生剤はMEPM+LVFXからMEPM+TAZ/PIPCへ変更した.第11病日に施行した内視鏡検査で偽膜は減少していたが、下部大腸の粘膜は脆弱で浮腫状に混濁し、多数の血腫を伴い易出血性だったため中心静脈栄養を継続した.第17病日には循環動態も改善し人工呼吸器を離脱した.第23病日に施行した内視鏡検査では下部大腸に発赤浮腫を認めたが、粘膜は再生し偽膜も消失していた.VCMの投与を終了し、第27病日から経管栄養を開始し転院となった.重症化したCD腸炎は死亡例も多いが、早期診断と集中治療により救命しえたので報告する.
索引用語 CD腸炎, 敗血症