セッション情報 一般演題

タイトル 005:

全身性強皮症(SSc)に合併した食道アカラシアの1例

演者 徳丸 佳世(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学)
共同演者 伊原 栄吉(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 森 大介(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 白 暁鵬(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 府川 恭子(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 深浦 啓太(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 田中  義将(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 澤村 紀子(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 小森 圭司(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 牟田 和正(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 小副川 敬(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 後藤 綾子(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 井星 洋一郎(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 岩佐 勉(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 中村 和彦(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 高柳 涼一(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学)
抄録 症例は 51歳女性。1997年に全身性強皮症(SSc)と診断された。2009年7月より、血流障害による難治性手指潰瘍に対して、レバチオ(シルデナフィル)を開始された。同時期より、咽頭違和感、嚥下困難感及び食後の胸のつかえ感を自覚するようになった。胃食道逆流症による症状と診断され、PPI (ラベプラゾール10mg)による加療が行われた。2012年3月より症状が増悪したため、ラベプラゾールを20mgへ増量。しかし、症状の改善を認めなかったため、2012年4月、PPI治療に抵抗性するGERD様症状に対する精査と加療にて当科紹介となった。上部消化管内視鏡検査では、症状の原因となる器質的異常を指摘できず、内視鏡的に食道に粘膜障害を認めなかった。また、生検組織からも好酸球性食道炎などを特定の疾患を示唆するような特異的な所見は認めなかった。食道X線検査では、明らかな異常所見を指摘することはできなかった。そこで、生理機能検査として、食道内pH/インピーダンス検査と高解像度食道内圧検査 (High resolution manometry、HRM)を施行した。その結果、症状を説明する逆流所見(酸逆流を含む)は認めなかったが、HRMでは下部食道括約筋 (LES) IRP 16.6mmHg (<15.0)とLES弛緩不全を認め、食道体部は無蠕動であり、アカラシア (シカゴ分類Type I)と診断した。アカラシアに対してバルーン拡張術を施行したところ、LES IRP は、3.4 mmHgに正常化し、自覚症状はほぼ消失した (F scaleは20から7に低下)。SScでは食道蠕動運動低下およびLES機能低下からの逆流性食道炎を合併することが多い。また、SScが進行すると、食道が無蠕動となるいわゆる強皮症食道 (Sclerodama esophagus)を引き起こすことが知られている。今回我々はSScにアカラシアを合併した比較的稀な症例を経験したので、若干の考察を加えて報告する。
索引用語 アカラシア, 強皮症