セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研47:防風通聖散による薬物性肝障害の一例 |
演者 | 五反田 香(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科) |
共同演者 | 辻 千賀(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科), 中下 俊哉(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科), 蒲池 紗央理(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科), 大枝 敏(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科), 井手 康史(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科), 大塚 大河(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科), 河口 康典(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科), 江口 有一朗(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科), 尾崎 岩太(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科), 水田 敏彦(佐賀大学医学部 肝臓糖尿病内分泌内科) |
抄録 | 【はじめに】防風通聖散は高血圧や肥満に伴う諸症状の改善、肥満体質に効果があるとして一般的に頻用されている漢方薬である。今回防風通聖散による肝障害の症例を経験したので報告する。【症例】72歳女性。これまでに肝機能異常の既往なし。2012年10 月よりダイエット目的で近医より防風通聖散の処方を受け内服を開始。2013年2月頃から心窩部不快感を自覚し、3月の血液検査にてAST 201 U/L、ALT 156 U/L、γGTP 79 U/Lと肝機能障害を認めた。USでは異常所見なく、アルコール摂取歴があったため禁酒にて経過観察となった。2週間後肝機能の増悪を認め精査加療目的に当院紹介受診。初診時身長160cm、体重52.5kg、(BMI20.5)、血液検査にてWBC 3500 /μL(好酸球5.6%)、PLT 14.8万/μL、PT活性97.2%、T.Bil 0.7 mg/dL、AST 375 U/L、ALT 333 U/L、ALP 559 U/L、γGTP 140 U/L、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性、ANA 80倍、AMA陰性、IgG 1374 mg/dL、IgM 23 mg/dL。造影CT、MRCPでは胆管病変を含め異常所見は認めず、原因検索のため肝生検を施行した。病理組織では中心静脈周囲の肝細胞の脱落を認めるが、肝小葉および門脈への炎症細胞浸潤は軽微であり、肝細胞脂肪化も認めないため自己免疫性肝炎や脂肪肝は否定的であった。防風通聖散のDLSTは陰性であったが、防風通聖散の内服を中止したところ速やかに肝機能の改善を認めた。DDW-J2004薬物性肝障害ワークショップによるスコアリングでは7点で、防風通聖散による肝障害である可能性が高いと判断された。【考察】医中誌で検索したところ防風通聖散が関与した可能性の高い肝障害の症例報告は12件あり、中には劇症肝炎に至った例も報告されている。本剤のダイエット効果はTVでも宣伝され、ドラッグストアでも気軽に購入できることから、服用者は相当数存在すると予想されるため、肝障害の危険性について何らかの注意喚起は行うべきと考えられた。【結語】防風通聖散による薬物性肝障害は稀ではないので、同薬剤投与時は肝障害出現に十分に留意する必要がある。 |
索引用語 | 薬物性肝障害, 漢方薬 |