セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研07:

胃幽門部浸潤を認めた原発性早期十二指腸球部癌の1例

演者 燒田 有希恵(潤和会記念病院 外科DELIMITER宮崎大学医学部卒後臨床研修センター)
共同演者 黒木 直哉(潤和会記念病院 外科), 長友 俊郎(潤和会記念病院 外科), 根本 学(潤和会記念病院 外科), 樋口 茂輝(潤和会記念病院 外科), 佛坂 正幸(潤和会記念病院 外科), 岩村 威志(潤和会記念病院 外科), 宮崎 貴浩(潤和会記念病院消化器科), 吉山 一浩(潤和会記念病院消化器科), 林 透(潤和会記念病院病理診断部)
抄録 原発性十二指腸癌は全消化管悪性腫瘍の約0.3%と比較的稀な疾患であるが、近年は上部消化管内視鏡検査の普及により早期癌の報告例も散見される。治療は外科的切除が原則とされているが、深達度がmの早期癌では内視鏡的切除も行われている。今回我々は十二指腸球部より発生し、幽門前部への進展を認めた比較的大きな原発性早期十二指腸球部癌の1例を経験したので報告する。症例は64歳女性。自覚症状はなく、検診で施行された上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部の隆起性病変を指摘され、精査加療目的で当院を紹介受診した。上部消化管造影検査では十二指腸球部前壁側に最大径約5cmの隆起性病変を認め、病変の口側は胃への進展を認めた。内視鏡検査では幽門前部から十二指腸球部にかけて表面乳頭状の隆起性病変が認められた。いずれの検査でも病変は軟らかく、明らかな深部浸潤の所見は認められなかった。また造影CTでも周囲組織への浸潤や転移を示唆する所見は認めなかった。生検の結果は高度異型を伴った腺腫であったが、病変が大きいため癌の可能性も否定できず、内視鏡下での切除は出血や穿孔のリスクが高いと考えられたため、所属リンパ節郭清を伴う十二指腸球部を含む腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行した。術中迅速病理検査で十二指腸断端の腫瘍陰性を確認し、Billroth1法にて再建を行った。切除標本では十二指腸球部を中心に5.6×4.5cmの亜有茎性の腫瘍を認め、術前の検査でも認めたように病変の口側は一部幽門輪を越えて胃へ浸潤していた。組織学的には深達度mの乳頭状腺癌であり、脈管侵襲やリンパ節転移は認めず、根治手術したものと考え、術後化学療法は行わなかった。術後は合併症もなく経過し、術後15日に退院となった。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 早期十二指腸球部癌, 乳頭状腺癌