セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専21:

バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)が有効であった胃静脈瘤破裂の一例

演者 中島 一壽(公益社団法人鹿児島共済会 南風病院肝臓内科)
共同演者 柴藤 俊彦(公益社団法人鹿児島共済会 南風病院肝臓内科), 迫 勝巳(公益社団法人鹿児島共済会 南風病院肝臓内科), 小森園 康二(公益社団法人鹿児島共済会 南風病院肝臓内科), 松田 彰郎(公益社団法人鹿児島共済会 南風病院消化器内科), 新原 亨(公益社団法人鹿児島共済会 南風病院消化器内科)
抄録 【症例】70歳代男性。肝細胞癌に対して計10回の肝動脈塞栓術施行歴あり。2013年5月肝動脈塞栓術施行目的で入院した。入院時のHb:12.3 g/dlであったが、肝動脈塞栓術後の採血にてHb:10.7 g/dl まで低下を認めた。入院前から黒色便あり、断続的下血をしていることが判明したため、上部消化管内視鏡検査を施行した。胃底部に巨大な胃静脈瘤あり、胃静脈瘤の項部にびらんがみられ、今回の出血の原因と思われた。活動性出血は認めなかったが、白色血栓を伴っていた。その後、RCC輸血を行ったが貧血の改善が得られないため、緊急バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を施行した。血管造影にて左腎静脈より胃腎シャントを認め、胃静脈瘤への関与が示唆された。また、胃腎シャントから逆行性に造影したところ、心嚢静脈が描出された。バルーン閉鎖下に逆行性にオルダミン5ccと造影剤5ccにて塞栓し、心嚢静脈が描出され終了とした。B-RTO施行後2日で黒色便はほぼ消失し、B-RTO施行後1週間で行った上部消化管内視鏡検査では胃静脈瘤の表面に認めたびらん性の変化は消失し、胃内に血液貯留も認めなかった。B-RTO施行後40日で行った上部消化管内視鏡検査では胃静脈瘤は縮小していたが、食道静脈瘤の発達を認めた。また、施行後40日で行った腹部造影CTでは、胃静脈瘤は縮小し、胃腎シャントも改善、有意な血流は指摘されなかった。【考察】今回われわれはB-RTOが有効であった胃静脈瘤破裂の症例を経験した。巨大な胃静脈瘤であったため内視鏡的な硬化術では止血効果が期待できなかったこと、出血コントロールがつかない可能性がありコイル塞栓は不可能であったことより、B-RTOを選択した。治療方針に関し、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胃静脈瘤, BRTO