セッション情報 一般演題

タイトル 120:

急性膵炎後に膵仮性嚢胞を形成し,嚢胞内仮性動脈瘤破裂によって胃内出血をきたした一例

演者 西村 淳(健康保険人吉総合病院)
共同演者 高野  理恵子(健康保険人吉総合病院), 松下 弘雄(健康保険人吉総合病院), 大谷 響(健康保険人吉総合病院), 豊福 隆将(熊本大学医学部付属病院), 荒川 昭彦(済生会熊本病院)
抄録 急性膵炎後に膵仮性嚢胞を形成し,嚢胞内仮性動脈瘤破裂によって胃内出血をきたした一例健康保険 人吉総合病院 消化器内科1) 外科2)  済生会熊本病院 中央放射線部3) 熊本大学医学部附属病院 放射線科治療科4)西村 淳1)  大谷 響 1) 高野 理恵子1) 松下 弘雄2)  荒川昭彦3) 豊福隆将4) 【症例】50歳代,男性.【主訴】上腹部痛,めまい.【現病歴・経過】慢性膵炎にて近医で加療されていた.某年12月に急性膵炎を発症し当院にて入院加療された.保存的加療にて翌年1月に軽快退院し,以降近医でフォローされていた.同年7月より貧血が出現,10月には貧血進行に加え,上腹部痛,めまいを認めたため,精査加療目的で当院紹介となった.当院初診時の採血では,Hb6.8g/dlと高度の貧血を認めた.上部消化管内視鏡検査では,胃体部に凝血塊の付着を認めたが,新鮮血や活動性の出血は認められなかった.腹部造影CT検査,下部消化管内視鏡検査まで施行したが貧血の原因は特定できなかった.鉄剤の内服で経過観察し,貧血は改善傾向となった.しかし3ヶ月後に再度貧血の進行,さらに黒色便,動悸があり当院を受診された.上部消化管内視鏡検査を再検したところ,胃体上部後壁に点状出血を認め,さらに周囲は粘膜下腫瘍様に隆起している所見を認め,仮性嚢胞が出血に関与している可能性が考えられた.腹部造影CTを施行したところ,左胃動脈に形成された仮性動脈瘤の破裂により嚢胞内へ出血をきたし,胃内へ穿破したものと考えられた.同部に対して血管造影下にコイル塞栓術を施行した.以降再出血なく経過している.【考察】急性膵炎の合併症として,仮性嚢胞はよく知られている.また,嚢胞内出血を来す症例もみられるが,本症例のように仮性嚢胞内に仮性動脈瘤を形成し,さらに出血により胃内に穿破した症例は比較的稀と考えられる.若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 膵仮性嚢胞, 出血