セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専07:

皮膚筋炎を契機に診断され、術後早期に多発肝転移を認めたHER2陽性胃癌の1例

演者 南原 翔(九州大学大学院 移植・総合外科)
共同演者 安藤 幸滋(九州大学大学院 移植・総合外科), 日吉 幸晴(九州大学大学院 移植・総合外科), 伊藤 修平(九州大学大学院 移植・総合外科), 佐伯 浩司(九州大学大学院 移植・総合外科), 沖 英次(九州大学大学院 移植・総合外科), 森田 勝(九州大学大学院 移植・総合外科), 前原 喜彦(九州大学大学院 移植・総合外科)
抄録 皮膚筋炎を契機に診断され、術後早期に多発肝転移を認めたHER2陽性胃癌の1例九州大学大学院 消化器・総合外科○南原 翔、安藤幸滋、日吉幸晴、伊藤修平、佐伯浩司、沖 英次、森田 勝、前原喜彦【はじめに】皮膚筋炎はcutaneous paraneoplastic syndromeに属する疾患として高率に悪性腫瘍が合併することが知られている。今回我々は皮膚筋炎を契機に診断された胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除術施行後、術後早期に多発肝転移を認めた1例を経験した。若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】症例は69歳男性。2012年10月より頂部、頚部を中心に紅斑、掻痒感が出現した。近医皮膚科受診し皮膚筋炎が疑われ当院皮膚科紹介となった。皮膚生検で皮膚筋炎の診断となり当院皮膚科で加療されていた。四肢の脱力感および全身倦怠感を認め、同年12月当院皮膚科緊急入院した。ステロイドを導入され症状は改善傾向にあった。入院14日目に悪性腫瘍評価目的に上部消化管内視鏡検査施行、胃前庭部後壁にI型の隆起性病変を認めた。精査の結果Group5 Adenocarcinoma cT2N1M0 stage2の診断であった。ステロイド漸減のもと入院53日目に手術目的に当科転科となった。腹腔鏡下幽門側胃切除術、D2郭清を行い、再建はBillroth I法で行った。術後経過は良好であり、術後8日目に退院となった。術後14日目に皮膚筋炎のフォローアップ目的に施行された造影MRI検査で多発肝転移を認めた。切除標本の病理検査でHER2陽性であったため、術後35日目よりHXP療法(Herceptin,CDDP,Capecitabin)を開始した。明らかな有害事象は認めず、4クール施行後のCT検査では治療効果判定はPRであった。現在まで6クール終了している。【考察】皮膚筋炎の約30%に悪性腫瘍を合併するといわれ、消化器癌が多く日本では胃癌が多いとされている。悪性腫瘍の合併例では腫瘍を治療すると筋炎の症状も改善するとされている。【結語】皮膚筋炎を契機に診断され、術後早期に多発肝転移を認めたHER2陽性胃癌の1例を経験した。皮膚筋炎の際には悪性腫瘍を念頭に置き、早急の診断・治療が必要である。
索引用語 皮膚筋炎, 胃癌