セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専27:

上腸間膜動脈(SMA)血栓塞栓症による遅発性小腸狭窄に対し腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した2例

演者 松本 奏吉(九州大学病院臨床・腫瘍外科)
共同演者 前山 良(九州大学病院臨床・腫瘍外科), 山田 大輔(九州大学病院臨床・腫瘍外科), 真鍋 達也(九州大学病院臨床・腫瘍外科), 植木 隆(九州大学病院臨床・腫瘍外科), 田中 雅夫(九州大学病院臨床・腫瘍外科)
抄録 【緒言】SMA血栓塞栓症による遅発性小腸狭窄に対して腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した2例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例1】79歳男性。2012年11月に上下部消化管内視鏡検査のため抗血小板薬を中断していたところ、急激に腹痛、下痢が出現し、精査の結果SMA血栓塞栓症の診断となり、当院内科で保存的加療を行った。その後イレウスを発症し、画像上小腸の狭窄、および瘻孔形成をみとめたため、当科で腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した。術後経過は良好で術後14日目に内科へ転科となった。【症例2】43歳女性。2012年12月から腹痛、嘔吐、下痢が出現し、前医で保存的加療を行い一旦改善したものの、2013年1月に同様の症状が再燃した。画像上、小腸の多発潰瘍、および狭窄をみとめ、イレウス症状もあるため当院内科へ紹介となった。その後の精査でSMA血栓塞栓症の診断となり、またイレウス症状の改善ないため、6月に当科で腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した。術後経過は良好で、抗凝固療法を開始して術後13日目に退院となった。【考察】2例ともに炎症による腸管の癒着は高度であったが、腹腔鏡補助下での小腸切除術を施行し得た。遅発性小腸狭窄の原因として、外傷によるものは報告を散見するが、SMA血栓塞栓症によるものは極めてまれである。通常SMA血栓塞栓症において手術に至る例では急性の腸管壊死をみとめることが多い。今回の2例に関しては、病理所見でも粘膜病変はみとめず、またSMAおよびその抹消部には血栓像をみとめ、血栓塞栓症による血流障害によって発生した遅発性小腸狭窄であると考えられた。【結語】原因不明の小腸狭窄をみとめた場合には、SMA血栓塞栓症等の血流障害による遅発性小腸狭窄を念頭におく必要がある。
索引用語 遅発性小腸狭窄, 上腸間膜動脈血栓症