セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専61:

急性胆管炎を契機に診断された胆嚢胃瘻の1例

演者 田嶋 健秀(産業医科大学 第一外科学)
共同演者 田村 利尚(産業医科大学 第一外科学), 沢津橋 佑典(産業医科大学 第一外科学), 日暮 愛一郎(産業医科大学 第一外科学), 山口 幸二(産業医科大学 第一外科学)
抄録 症例は71歳女性。下腿蜂窩織炎にて他院入院中に肝胆道系酵素上昇を認め、精査の結果急性胆管炎と診断された。保存的加療にて胆管炎は軽快したが、精査中に胆嚢胃瘻を認め、手術目的に当科紹介となった。腹部超音波では胆嚢の萎縮と胆嚢結石、総胆管結石を認めた。上部消化管内視鏡検査で胃前庭部後壁に瘻孔を認めた。瘻孔にカニュレーションし造影剤を注入、透視にて胆嚢と考えられる造影剤の貯留、胆嚢結石・総胆管結石と考えられる陰影欠損を認めた。瘻孔部を生検したが悪性所見はなかった。瘻孔造影後の単純CTでは胃体部から十二指腸下行脚、胆嚢から総胆管下端に造影剤を認め、胆嚢結石・総胆管結石も認めた。胆石性胆嚢炎に伴う胆嚢胃瘻、総胆管結石症の診断に対し、開腹胆嚢摘出術/総胆管切石術を施行した。術中胆嚢漿膜に結節を認めたため術中迅速病理検査に提出するも悪性所見は認めなかった。術後の永久標本病理組織検査でも胆嚢に悪性所見を認めなかった。術後経過は良好、術後20日目に退院となった。胆嚢胃瘻は内胆汁瘻の中でも稀な疾患である。胆嚢胃瘻は胆嚢癌の発生母地となる可能性があり、悪性所見の除外が重要である。今回我々は急性胆管炎を契機に診断された胆嚢胃瘻の1例を経験したため文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆嚢胃瘻, 胆嚢炎