セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専36:

Intensive GCAPが奏功した高齢発症Crohn病の一例

演者 寺本 智美(佐賀大学医学部附属病院消化器内科)
共同演者 田中 雄一郎(佐賀大学医学部附属病院消化器内科), 樋高 秀憲(佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部), 芥川 加代(佐賀大学医学部附属病院消化器内科), 坂田 資尚(佐賀大学医学部附属病院消化器内科), 岩切 龍一(佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部)
抄録 【症例】78歳女性【主訴】軟便【現病歴】2012年11月に持続する軟便を認め、当院総合診療部を受診した。血液検査にて炎症所見が上昇し、腹部造影CTで上行結腸から下行結腸にかけて壁肥厚を認めたことから感染性腸炎が疑われ、絶食・抗菌薬投与での加療を受けた。治療後症状が改善したため、一旦退院し経過観察の方針となった。2013年3月、症状が再発したため来院した。腹部造影CTにて回腸末端に浮腫性壁肥厚を認めた。下部消化管内視鏡検査を施行したところ、回盲部を中心に縦走傾向のある潰瘍を散見したため、小腸造影を行うと、回腸末端20cmの範囲で粗造な粘膜と小潰瘍を認めた。 以上の所見に加え、病理検査で類上皮肉芽腫を認めたことよりCrohn病の診断に至った。その時点でCDAI score:236pointであり、中等症の活動性Crohn病と評価した。入院にてメサラジン3000mg/日の内服、および栄養療法で治療を開始した。さらに、高齢であったため、ステロイドや生物学的製剤は導入せず、intensive CAP(GMA 2回/週×5)を開始した。明らかな有害事象もなく経過し、GMAを開始後、徐々に消化器症状は軽快した。GMA10回終了時には、CDAI scoreは127pointまで改善し、下部消化管内視鏡でも回盲部および回腸末端の潰瘍はほぼ瘢痕化した。【考察】血球成分除去療法は2000年より難治性潰瘍性大腸炎に対する寛解導入療法として保険適応実施が可能となった治療法である。 2011年からは、総実施回数は10回までに制限はあるが、施行間隔の制限は撤廃され、週に2~3回に実施する強化療法(Inrtensive CAP)が可能となった。一方で、 Crohn病に対する血球成分除去療法は、2009年から週に1回総数10回までの範囲で寛解導入療法を目的に保険承認されたが、現時点では Crohn病に対するInrtensive CAPの有効性は確立していない。 今回われわれは、高齢発症のCrohn病患者に対し、ステロイドおよび生物学的製剤は併用せず、 Inrtensive CAPが有効だった1例を経験したので報告する。
索引用語 Crohn病, GCAP