セッション情報 一般演題

タイトル 022:

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)にて粘膜下異所性胃腺と診断し得た胃粘膜下腫瘍の一例

演者 瀧川 有記子(熊本赤十字病院)
共同演者 北田 英貴(熊本赤十字病院), 池邊 賢一(熊本赤十字病院), 岩崎 肇(熊本赤十字病院), 渡名喜 銀河(熊本赤十字病院), 南 信弘(熊本赤十字病院), 浦田 孝広(熊本赤十字病院), 吉岡 律子(熊本赤十字病院), 竹熊 与志(熊本赤十字病院), 一二三 倫郎(熊本赤十字病院)
抄録 症例は41歳女性。2013年2月に施行された健康診断での上部消化管内視鏡検査にて胃体中部前壁に径12mmの中心陥凹を伴う粘膜下腫瘍を指摘され、当科へ紹介となった。当科にて施行した超音波内視鏡検査では、同病変は第2-3層を主座とする第3層よりもやや低エコーな充実性腫瘍として描出され、第3層の断裂は認めなかった。内部エコーの一部にはさらに低エコーな領域を認めた。肉眼的にはカルチノイドなどを鑑別として考え、計13個のボーリング生検を施行するもすべて粘膜部分しか採取できておらず確定診断に至らなかった。診断的治療の目的で内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した。病変を筋層直上で剥離し、一括にて切除できた。病理検査では隆起した病変部に一致して胃腺窩上皮が粘膜下層に増殖しており胃粘膜下異所性胃腺と診断された。粘膜下の腺窩上皮に異型はなく、腫瘍性増殖や悪性所見は認めなかった。粘膜下異所性胃腺の原因としては後天的に繰り返す粘膜のびらん、再生の結果、上皮成分が粘膜下層に迷入する後天性炎症説が有力とされている。本疾患は基本的に良性の胃粘膜下腫瘍病変であるが、本組織を母地とした胃癌の発生や、多発性・びまん性の場合は胃癌を合併する頻度が高いとの報告もある。今回我々はESDが診断に有用であった粘膜下異所性胃腺の一例を経験したため、文献的考察を含めて報告する。
索引用語 胃粘膜下異所性胃腺, ESD