セッション情報 一般演題

タイトル 082:

診断に難渋した肝血管肉腫の1例

演者 森 敦(社会保険田川病院消化器内科)
共同演者 前川 隆一郎(社会保険田川病院消化器内科), 加治 亮平(社会保険田川病院消化器内科), 宮原 健輔(社会保険田川病院消化器内科), 中根 智幸(社会保険田川病院消化器内科), 川口 俊弘(社会保険田川病院消化器内科), 榊原 重成(社会保険田川病院消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門)
抄録 【症例】68歳、男性。【病歴】2012年6月頃より心窩部圧迫感、食思低下が出現し近医を受診した。血液生化学検査にて肝機能異常、血小板減少を認め精査目的に7月17日に当院へ紹介となった。【画像所見】腹部超音波検査にて肝左葉に113×71mm、78×69mm内部不均一で境界が不明瞭な低エコー腫瘤を認めた。腹部造影CTでは肝S4、S3にかけてびまん性に内部に小斑状の造影剤のpoolingを伴ったびまん性の低級域を認めた。EOB-MRIで同部位はT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号領域として描出され中心部は造影効果に乏しく、肝細胞相で明らかな造影効果を認めなかった。【経過】画像所見から肝細胞癌は否定的と考え、混合型肝癌、胆管細胞癌などを疑った。腫瘍の診断目的に7月30日に経皮的肝腫瘍生検を施行し悪性細胞を検出するも組織学的診断には至らなかった。DICを併発し巨大血管腫を考慮したが肝生検の結果と併せ肝血管肉腫と診断した。外科的切除不能例である本症例に確立された治療法はなかったがIL2製剤肝動注療法奏効例の報告もあり8月21日にIL2動注療法を施行した。9月5日に肝梗塞を併発し、以降、対症療法を継続するも9月21日に永眠した。死後、確定診断のため御家族の了承を得てnecrophyを施行した。病理組織では腫瘍細胞は高度の壊死を伴っており、胞体に乏しく多形成で異型の強い核を有していた。免疫染色で血管内皮マーカーであるCD34、第8因子が陽性であったことから肝血管肉腫の最終診断に至った。【まとめ】本症例は経皮的肝生検を行うも確定診断に至らず診断に苦慮した症例であった。肝血管肉腫の診断は特徴的な所見がないため肝生検、画像検査、血液検査、経過などで総合的に診断することが必要となる。今回、我々は肝原発悪性腫瘍の中で0.2~1.8%と稀な肝血管肉腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝内腫瘍, 血管内播種性凝固症候群