セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 048:肺非結核性抗酸菌症(NTM)を合併した潰瘍性大腸炎(UC)にタクロリムス(TAC)を導入した1例 |
演者 | 鈴木 博子(熊本大学医学部附属病院 消化器内科) |
共同演者 | 鴻江 勇和(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 山邊 聡(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 成田 礼(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 宮本 英明(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 千代永 卓(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 階子 俊平(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 小山 真一郎(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 山田 裕希(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 庄野 孝(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 村尾 哲哉(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 直江 秀昭(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 田中 基彦(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 佐々木 裕(熊本大学医学部附属病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】77歳女性【主訴】血便・腹痛【現病歴】22年前にUCの診断となったが、特に症状の増悪はなく通院されていなかった。H24年9月頃から血便が出現し、H25年2月末に前医の全大腸内視鏡検査で、全大腸型UC(中等症)と診断され入院となった。入院後の胸部単純CTで肺野に異常陰影を認めたため、呼吸器疾患も含めた精査・加療目的に同年3月に当科へ転院となった。【経過】入院時37.6度の発熱、下腹部痛を認め、両下肺野で ラ音を聴取した。貧血・低蛋白血症・炎症反応上昇を認め、UC重症度分類では重症と診断した。免疫調節剤の治療を検討したが、胸部CTで肺NTM症・間質性肺炎を疑わせる結節影・気管支拡張や網状影を認めたため、メサラジンに加えLCAPでの加療を行いつつ呼吸器精査を行った。入院後胃液培養からガフキー1号の抗酸菌が検出され、気管支鏡検査を施行し、後日の培養結果より、Mycobacterium intracellulare が検出され肺NTM症の診断となった。UCに関してはLCAPの反応性は乏しく第10病日にはPCRにて結核菌の陰性が確認できていたため、第11病日よりTACを導入した。TACが目標血中濃度に達すると速やかに血便・下痢は改善し、内視鏡所見でも粘膜所見は改善傾向であったため、第33病日よりAZAを開始した。経過中、呼吸器症状・UCの臨床症状の増悪なく第40病日に退院となった。しかし、第66病日より喀痰の出現と胸部画像の悪化を認め、免疫調節剤による肺NTM症の増悪と診断した。そのためクラリスロマイシンとエタンブトールで肺NTM症の治療を開始し、UCの症状は落ち着いていたため第93病日にTACを終了した。その後は胸部画像所見・臨床症状ともに増悪は認めていない。【結語】肺NTM症を合併した重症UCを経験した。緩徐に進行する肺NTM症も免疫抑制剤により急激に増悪する可能性があり、貴重な症例と考えられたため報告する。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, タクロリムス |