セッション情報 ワークショップ4「炎症性腸疾患 最近の治療」

タイトル WS4-04:

当院における難治性潰瘍性大腸炎に対する内科的治療の現況

演者 鴻江 勇和(熊本大学医学部附属病院 消化器内科)
共同演者 成田 礼(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 山邊 聡(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 千代永 卓(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 宮本 英明(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 階子 俊平(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 小山 真一郎(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 山田 裕希(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 庄野 孝(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 村尾 哲哉(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 直江 秀昭(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 田中 基彦(熊本大学医学部附属病院 消化器内科), 佐々木 裕(熊本大学医学部附属病院 消化器内科)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎(UC)の内科的治療は5-ASA製剤、ステロイドが中心であったが、近年タクロリムスや抗TNF‐α抗体製剤が認可され、治療の選択肢が広がってきている。【目的】当科における治療方針として、ステロイド抵抗性、依存性の難治性UC症例に対し、臨床的重症度が重症症例にはタクロリムス(TAC)を選択し、中等症の症例ではTAC、レミケード(IFX)のいずれかの投与を行っている。今回これらの難治性UC症例に対する内科的治療の有効性を検討する。【対象】2008年4月から2013年8月までに当科で治療を行ったUC患者61例のうち、TAC投与(10例)、IFX投与(5例)をおこなった計15例を対象とした。【方法】UC-DAI(Sutherland index)のうち内視鏡スコアを除いたpartial DAI(p-DAI)とUC-DAIを有効性の評価指標として用いて、各治療の寛解率を検討した。【結果】TAC投与時の平均年齢は40.3歳、投与までの平均罹病期間は65.1ヶ月であった。臨床的重症度分類は全例中等症から重症で、投与前のDAIは平均8.7であった。血中トラフ値が10.0ng/ml以上に達する平均日数は3.8日であり、寛解導入達成は50%(5/10)であった。また、至適トラフ値までの達成日数と寛解導入率に相関は認めなかった。IFX投与例は5例(TAC導入群を除く)で、投与時の平均年齢は46.2歳、投与までの平均罹病期間は186.2ヶ月であった。投与前のDAIは平均8.4で、全例寛解導入することが可能であった。また、TAC寛解導入困難例(5例)に対し、IFXを導入したところ、3例で寛解が得られた。 【結語】IFX投与例では寛解導入率が高い傾向にあり、TAC寛解導入困難例に対しても寛解導入可能な症例が認められた。重症例に対するIFX投与例も良好な経過が得られており、今後症例を積み重ねてさらに検討していく予定である。
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス