セッション情報 | ワークショップ3「進行肝細胞癌診療の現状と問題点」 |
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タイトル | WS3-06:脈管浸潤を伴う肝細胞癌に対するソラフェニブ療法とリザーバー動注療法の傾向スコア解析 |
演者 | 中下 俊哉(佐賀大学 肝臓糖尿病内分泌内科) |
共同演者 | 大塚 大河(佐賀大学 肝臓糖尿病内分泌内科), 辻 千賀(佐賀大学 肝臓糖尿病内分泌内科), 田中 賢一(佐賀県医療センター好生館 肝胆膵内科), 村山 賢一郎(佐賀県医療センター好生館 肝胆膵内科), 蒲池 紗央里(佐賀大学 肝臓糖尿病内分泌内科), 大座 紀子(佐賀県医療センター好生館 肝胆膵内科), 秋山 巧(佐賀県医療センター好生館 肝胆膵内科), 熊谷 貴文(佐賀県医療センター好生館 肝胆膵内科), 井手 康史(佐賀大学 肝臓糖尿病内分泌内科), 江口 有一郎(佐賀大学 肝疾患医療支援学講座), 川添 聖治(佐賀県医療センター好生館 肝胆膵内科), 尾崎 岩太(佐賀大学 肝臓糖尿病内分泌内科), 水田 敏彦(佐賀大学 肝臓糖尿病内分泌内科) |
抄録 | 【目的】遠隔転移はないが脈管浸潤を伴う進行肝細胞癌(局所進行肝細胞癌)に対する治療に関しては日本肝臓学会の肝細胞癌治療アルゴリズムによるとソラフェニブ療法,動注化学療法,肝動脈化学塞栓療法、肝切除など様々な選択肢が呈示されている。わが国では局所進行肝細胞癌に対してリザーバーを用いた動注療法 (HAIC)が広く行われてきたが、比較試験が実施されていないためソラフェニブと異なり国際的な評価は得られていない。今回我々は局所進行肝細胞癌に対するリザーバー動注療法とソラフェニブ療法の治療効果について比較検討を行なった。【方法】1999年8月~2012年7月に局所進行肝細胞癌に対しソラフェニブ療法(S群)またはHAIC (R群)を行なった74例のうち、年齢、性別、Child Pughスコア、AFP値で傾向スコアを用いマッチさせたS群14例、R群14例を対象とした。抗腫瘍効果(奏効率:ORR、病勢制御率:DCR、無増悪期間:TTP)、生存期間(OS)および有害事象について2群間の比較を行なった。【結果】患者背景因子は両群で有意差はなかった.ORRはS群7.1%、R群35.7%(p=0.160)、DCRはS群35.7%、R群50.0%(p=0.695)といずれも有意差は認めないもののR群で高い傾向であった。TTPはS群2.9ヶ月、R群4.1ヶ月とR群で有意に延長していた(p=0.034)。OSはS群5.0ヶ月、R群8.8ヶ月と有意差は認めないもののR群で良好な傾向であった(p=0.257)。有害事象については全体でR群78.6%,S群100%,grade3以上はそれぞれ42.9%, 28.6%に認められ2群間に有意差は認めなかった。【結論】局所進行肝細胞癌に対するHAICはソラフェニブ療法と比較し良好な抗腫瘍効果および生命予後が示唆された。しかし本研究は少数例を対象としたretrospectiveな検討であり、予後解析に関しては治療環境の時代的差異が影響している可能性は排除できない.今後多数例での前向き比較試験により両治療の有用性について検討する必要がある。また両治療は作用機序が異なる治療法であることから、組み合わせ治療の可能性についても検討されるべきである。 |
索引用語 | 分子標的薬, 動注療法 |