セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研61:

胆嚢-横行結腸瘻の一例

演者 西藤 智照(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科)
共同演者 田代 光太郎(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 仁王 辰幸(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 飯福 沙織(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 馬場 由紀子(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 社本 多恵(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 豊田 真理(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 岩木 宏介(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 西俣 伸亮(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 政 幸一郎(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 松田 彰郎(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 島岡 俊治(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 新原 亨(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 西俣 嘉人(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 堀 雅英(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 西俣 寛人(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科), 北薗 正樹(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 外科・消化器外科), 末永 豊邦(公益社団法人鹿児島共済会南風病院 外科・消化器外科), 田中 貞夫(公益社団法人鹿児島共済会南風病院消化器内科 病理診断科)
抄録 症例は60歳代男性。元来大酒家で、以前よりしばしば右季肋部痛を自覚していたが放置していた。2013年5月中旬、右季肋部痛が出現し次第に増強したため翌朝当科受診。痛みは徐々に移動し、その後肛門に違和感が持続し、その後便とともに4cm大の茶色の結石状の塊を排出。それ以降、痛みは消失したが、下痢が持続した。血液検査では肝胆道系酵素、炎症反応の上昇がみられるも腹部超音波検査、DIC-CT、MRCPでは胆石は指摘できず、胆嚢と結腸の間の交通、pneumoboliaを認め、胆嚢結腸瘻と診断した。上部消化管内視鏡検査では十二指腸に異常所見はなかった。肛門より排出した結石状の塊に対して成分解析をした結果、98%がコレステロール成分であり、内胆汁瘻からの胆石排出が疑われた。下部消化管内視鏡検査を施行したところ横行結腸肝弯曲部に瘻孔がみられた。瘻孔は1cm大で、内視鏡的なクリッピング縫縮は困難と考えられた。また、瘻孔部の生検では異型上皮を認め、adenocarcinomaの可能性も否定できず、造影CTでも胆嚢内に隆起性病変を認め、悪性腫瘍も否定できない所見であった。以上より、外科手術の適応と判断した。逆行性胆道感染の可能性を考えて手術までは絶食TPN管理とし、6月に開腹下胆嚢摘出術及び結腸部分切除術を施行。術中所見でも同部は高度の癒着を伴い、胆嚢と結腸に瘻孔を認めた。術後病理検査は、慢性胆嚢炎及び胆嚢炎の炎症波及による横行結腸への瘻孔形成の診断となり、悪性所見は認めなかった。胆嚢-結腸瘻は内胆汁瘻(胆嚢消化管瘻)の中でも比較的まれであり、特徴的な症状はなく術前の診断率は高くない。今回我々は胆嚢結腸瘻を、稀な経緯で確定診断に至った症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 内胆汁瘻, 胆嚢結腸瘻