セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専62:

膵癌との鑑別が困難であった進行胃癌播種による悪性胆道狭窄の一例

演者 財前 友貴(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門)
共同演者 倉岡 圭(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 安元 真希子(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 佐々木 優(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 牛島 知之(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 名嘉真 陽平(久留米大学病院外科学講座), 石田 祐介(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 杉山 元(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 岡部 義信(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 鶴田 修(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門)
抄録 症例は62歳女性。C型慢性肝炎で外来経過観察中に、血液生化学検査で肝胆道系酵素上昇と黄疸を指摘された。血清腫瘍マーカーはDUPAN2 350U/mlのみ上昇していた。腹部US, CTでは下部胆管を閉塞機転として上流胆管の拡張を認めたが、膵頭部領域に明らかな腫瘤性病変は指摘できなかった。しかしEUSでは膵頭部に10mm大の低エコー腫瘤が描出され、ERCPでは膵頭部主膵管の限局性狭窄と尾側膵管拡張および下部胆管狭窄がみられた。ERCP下細胞診・組織診で悪性の診断には至らなかったが、総合的に通常型膵癌による閉塞性黄疸と診断した。一方、上部消化管内視鏡検査で胃体下部後壁を中心に小弯~前壁にかけて広がる不整な陥凹性病変を認め、同部位の生検で低分化腺癌と診断された。以上より膵頭部癌及び進行胃癌の重複癌症例と術前診断し、十分なInformed consentを得たうえで膵頭十二指腸切除術+脾合併胃全摘術+D2郭清術を施行した。最終病理診断は進行胃癌(Borman5型, 組織型: 低分化腺癌, 深達度SE)であった。膵頭部領域には肉眼的・組織学的に明らかな結節は認められなかったが、総胆管壁内や十二指腸壁内に胃病変と同様の低分化腺癌細胞の浸潤を認めた。これらは胃病変との連続性は確認できず、胆管狭窄の原因は浸潤転移と考えた。興味深い進展様式を呈した胃癌の浸潤転移による悪性胆道狭窄の一例を経験したため報告する。
索引用語 悪性胆道狭窄, 胃癌