セッション情報 一般演題

タイトル 040:

臍転移を来した原発性小腸癌の一例

演者 大石 有衣子(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部)
共同演者 島袋 耕平(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部), 田中 照久(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 伊良波 淳(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 下地 耕平(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部), 金城 徹(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部), 東新川 実和(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 武嶋 恵理子(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部), 岸本 一人(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 仲本 学(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 平田 哲生(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 金城 渚(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部), 外間 昭(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 伊禮 靖苗(琉球大学医学部附属病院 第一外科), 佐村 博範(琉球大学医学部附属病院 第一外科), 金城 福則(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部), 藤田 次郎(琉球大学医学部附属病院 第一内科)
抄録 【はじめに】原発性小腸癌は頻度が少なく、また、非特異的な症状で発症することや、スクリーニング検査を行う機会が少ないことから、早期発見が困難と言われている。内臓悪性疾患の臍転移をSister Mary Joseph’s nodule(以下SMJN)と呼ぶが、今回、進行小腸癌でSMJNを認めた稀な症例を経験したので報告する。【症例】47歳男性。【現病歴】半年前より臍下の違和感を自覚し、3か月前より腹痛、黒色便を認めていた。症状が持続するため近医を受診し、腹部造影CT検査を施行したところ、小腸に腫瘤性病変を認め、精査加療目的に当院へ紹介となった。【入院後経過】入院時、Hb11.7g/dlと軽度貧血を認め、臍下に手拳大の軟らかい腫瘤を触知した。当院で施行した腹部CT検査では、空腸に狭窄をきたす5cm大の腫瘍と所属リンパ節の腫大を認めた。病変は腸管壁外に主座があり、可溶性IL-2受容体の上昇を認めなかったことから、悪性リンパ腫よりもGISTが疑われた。また、臍部に2cm大の腫瘤を認め、転移の可能性も考えられた。経口的シングルバルーン内視鏡検査では病変まで到達できなかったが、小腸造影では空腸に立ち上がり急峻な周堤を有する潰瘍性病変を認め、潰瘍を形成したGISTや2型の小腸癌が疑われた。またスクリーニング目的に施行した下部消化管内視鏡検査にて、直腸に0-Ip+IIc型腫瘍(中~高分化型腺癌/深達度SM疑い)も指摘された。小腸腫瘍の診断的治療ならびに、直腸癌の治療も含めて外科へコンサルトし、小腸腫瘍の方が有症状で進行度も高く、まずは小腸腫瘍の切除を先行させることとなり、小腸部分切除、臍部腫瘍切除を施行した。切除病理結果では、小腸腫瘍、臍部腫瘍はいずれも中分化型腺癌で、小腸癌の臍転移と考えられ、stageIVの診断に至った。退院後、術後補助化学療法としてmFOLFOX6を外来で施行しながら経過観察中である。【最後に】臍転移を認める原発性小腸癌は本邦でも数例報告されているのみで、今回このような稀な症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。
索引用語 小腸, 臍転移