セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研53:

白血球増多を伴った原発性肝Malignant Fibrous Histiocytoma (MFH)の1例

演者 藤田 智之(国立病院機構 長崎医療センター 外科)
共同演者 蒲原 行雄(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 平山 昂仙(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 堀川 修一(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 濱田 聖暁(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 野中 隆(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 永吉 茂樹(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 渡海 由貴子(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 徳永 隆幸(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 北島 知夫(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 前田 茂人(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 永田 康浩(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 黒濱 大和(国立病院機構 長崎医療センター 臨床検査科), 伊東 正博(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 藤岡 ひかる(国立病院機構 長崎医療センター 外科)
抄録 今回我々は、白血球増多を伴ったMalignant Fibrous Histiocytoma (MFH)の1切除例を経験したので報告する。症例は60歳代・女性。腹痛を主訴に近医受診、腹部CTで肝右葉を占拠する巨大腫瘍を認め当科紹介となった。右季肋下4横指に腫大した肝を触知し、白血球の著明な増加を認めた (21000/mm3、好酸球22%)。しかし、炎症反応の上昇はCRP 0.7mg/dlと軽度であった。腫瘍マーカーでは、可溶性IL-2受容体 (sIL-2R)のみ3200 U/mlと上昇していた。CT/MRIでは、腫瘍は右葉に2個 (径10 cm、6 cm)、S4に1個 (径4 cm)の多血性腫瘍を認めたが、washoutはみられなかった。また、肝外転移や原発巣と考えられる他臓器病変も認めなかった。以上より、悪性リンパ腫を含む肝肉腫と術前診断し、肝拡大右葉切除を実施した。病理学的には、多型性の紡錘形細胞の増殖を認め多彩な組織所見からMFHと診断した。核分裂も著明であった (50%以上)。術後経過は良好で、腫瘍切除後白血球は速やかに正常化しsIL-2Rも低下した。MFHは身体のいずれの部位にも発生しうる予後不良な腫瘍であるが、肝原発は特に稀である。特徴的所見に乏しいため術前に正診された症例は少なく、切除後の組織検索で判明する例が大部分である。報告例の中には本症例と同様に白血球や好酸球の増多を伴う例も認められ、腫瘍による増殖因子産生などが指摘されている。本症例でもsIL-2Rが高値であったことから腫瘍によるサイトカイン産生の関与が示唆された。
索引用語 MFH, 拍血球増多