セッション情報 |
専修医発表(卒後3-5年)
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タイトル |
専11:術後12年目に髄膜癌腫症を来たした胃低分化型腺癌の一例
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演者 |
馬場 由紀子(公益社団法人鹿児島共済会南風病院) |
共同演者 |
島岡 俊治(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 松田 彰郎(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 飯福 沙織(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 社本 多恵(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 豊田 真理(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 岩木 宏介(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 西俣 伸亮(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 政 幸一郎(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 田代 光太郎(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 仁王 辰幸(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 新原 亨(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 西俣 嘉人(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 堀 雅英(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 西俣 寛人(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 田中 貞夫(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 梅原 藤雄(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 北薗 正樹(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 末永 豊邦(公益社団法人鹿児島共済会南風病院) |
抄録 |
症例は70歳代男性。2000年8月、当院外科で胃角部小彎~後壁の3型進行癌に対して開腹幽門側胃切除術、B-II法再建、D3郭清を施行した。術後病理診断はML, Post, type3, 40×50mm, por1, pMP, int, INF β, ly 1, v 0, pN1(1/27), pPM0(25mm), pDM0(75mm)でStage II(T2, N1, H0, P0, M0)であった。術後化学療法を施行したが、本人の希望で中止となった(詳細不明)。術後12年間、定期的に経過観察を行っていたが、画像上明らかな再発や転移性病変は指摘されなかった。2012年5月上旬、食欲不振が出現し、3週間後に頭が割れるような頭痛、嘔吐が出現したため当院脳神経外科で頭部CTを撮影したが、異常は指摘されなかった。食欲不振が持続するため6月中旬に近医を受診し、その後当科紹介となった。受診時、意識障害、項部硬直を認めたため髄液検査を行うと、細胞数110/ul (単核球 98%、多形核球 2%)、蛋白 87mg/dl、糖 48mg/dlであり、細胞診で低分化型腺癌を認めた。消化管検査を行うも悪性所見は指摘できず、CTで傍大動脈リンパ節の腫大、FDG-PETで同部位と胸椎に異常集積を認めた。以上より、12年前に切除された胃低分化型腺癌による髄膜癌腫症、リンパ節転移、多発骨転移と診断した。Methotrexate 10~20mgの髄腔内注入を1~2週間毎に施行し、一時意識レベルの改善を認めたが、注入開始12週間後に発熱、無呼吸状態となり、同年10月上旬に永眠された。髄膜癌腫症の原発部位は胃が圧倒的に多く、約40-60%を占めるが、全胃癌症例からすると発生頻度は1%未満と非常に低い。また、胃癌による髄膜癌腫症の場合、ほとんどは5年以内に再発する。今回われわれは、極めて稀な術後12年目に髄膜癌腫症を来たした胃低分化型腺癌の一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
胃癌, 髄膜癌腫症 |