セッション情報 シンポジウム1「高齢者に対する消化器病診療と今後の展望(消化管、肝胆膵)」

タイトル S1-14:

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)からみた高齢者胆膵内視鏡診療

演者 高橋 孝輔(健康保険諫早総合病院 消化器内科)
共同演者 橋本 さつき(健康保険諫早総合病院 消化器内科), 福島 真典(健康保険諫早総合病院 消化器内科), 田渕 真惟子(健康保険諫早総合病院 消化器内科), 植原 亮平(健康保険諫早総合病院 消化器内科), 大場 一生(健康保険諫早総合病院 消化器内科)
抄録 目的:ERCP症例の検討から高齢者に対する胆膵内視鏡診療の特徴を明らかにする。方法:当院で2011年4月1日から2013年7月31日の期間に内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)および関連手技を行った391症例を対象に、80歳以上の高齢者をA群(n=144)、80歳未満の非高齢者をB群(n=247)とし、対象疾患/併存疾患、治療方針、難易度(治療完遂率、プレカット症例数、膵管固定症例数)、偶発症に関して比較検討した。結果:A/B群における対象疾患は悪性腫瘍 43.8%/35.6%、胆管結石 52.0%/52.7%と高齢者では悪性腫瘍がやや多かった。併存疾患は慢性腎不全(血液透析を含む)(10.4%/2.0%,p<0.001)、慢性心不全/不整脈(11.8%/3.6%,p<0.001)と高齢者において有意に割合が高かった。治療方針に関しては胆管結石に対する治療は両者に著変なかったが、悪性腫瘍に対しては高齢者の方がメタリックステント(47.7%/28.9%,p=0.020)を使用する頻度が高かった。治療完遂率は96.5%/97.2%、急性膵炎などのERCP関連偶発症は7.6%/5.3%と有意差は認めなかった。結論:80歳以上の高齢者に関しても非高齢者と同等の治療成績を有し、かつほとんどの症例で重篤な合併症なく施行可能であった。しかし、前投薬での過沈静による挿管症例もあり、併存疾患を有する症例が多いことから高齢者に内視鏡治療を行う場合はより全身状態の管理が重要と考えられる。
索引用語 高齢者, ERCP