セッション情報 シンポジウム1「高齢者に対する消化器病診療と今後の展望(消化管、肝胆膵)」

タイトル S1-08:

高齢者潰瘍性大腸炎における術後合併症

演者 佛坂 正幸(潤和会記念病院)
共同演者 池田 拓人(宮崎大学腫瘍機能制御外科), 内山 周一郎(都城), 岩村 威志(潤和会記念病院), 千々岩 一男(宮崎大学腫瘍機能制御外科)
抄録 【はじめに】近年,潰瘍性大腸炎(UC)症例において,高齢者の割合が増加しつつある.今回,高齢者UCにおける術後合併症について検討した.【対象】2013 年までに手術を施行したUC症例59例のうち,70歳以上の症例6例(男性4例,女性2例,年齢78.3±6.4歳(平均±標準偏差)(72~89歳))を対象とし,70歳未満の53例(男性30例,女性23例,年齢45.5±16.5歳(9~68歳))と比較した.統計学的検定はFisher直接検定,t-test により行い,p<0.05を有意とした.【結果】70歳以上例では全例が待機手術で,軽症・中等症であったのに対し,70歳未満例では18例が緊急ないしは準緊急手術であり,劇症ないしは重症例が18例であった.手術適応は発癌・異型が70歳以上例では4例で,70歳未満例8例と比較して有意に(p<0.05)多かった.ステロイド投与量(プレドニゾロン換算)は術直前投与量,術前総投与量のいずれも70歳以上例(各々7.9±7.1mg,6.2±7.8g)では,70歳未満例(各々12.7±15.6mg,14.4±18.9g)と比べて少なかったが,有意差はなかった.手術は70歳以上例では全例で大腸全摘・腹会陰式直腸切断術を行ったが,70歳未満例では 11例で同手術を,42例で肛門温存手術を選択した.術後合併症は70歳以上例では2例,70歳未満例では24例にみられ,うち重篤な合併症は,70歳以上例では2例(心筋梗塞:1例,脳梗塞・敗血症・サイトメガロウィルス腸炎:1例),70歳未満例では6例(腹壁感染・壊死:2例,敗血症性ショック:1例,回腸嚢血流不全:1例,骨盤内膿瘍:1例,手術を要するイレウス:1例)にみられた.70歳以上例では1例は術後52日目に脳梗塞に続く敗血症・サイトメガロウィルス腸炎により,1例は2年8カ月目に敗血症により死亡した.70歳未満例では1例が術後2カ月目に癌死し,1例は1年目に敗血症により死亡した.【結語】70歳以上の高齢者UC症例ではステロイド投与量が少ない傾向にあり,劇症・重症例,緊急・準緊急手術例は少なかった.術後は手術部の感染・膿瘍などUCに特有な合併症よりも,心筋梗塞,脳梗塞,感染症など高齢者特有の合併症がおこるため,注意を要すると思われた.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 高齢者