セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研58:

各種画像検査にて肝細胞癌との鑑別が困難であった肝線維化巣の一例

演者 小出 憲呼(長崎大学病院消化器内科)
共同演者 加茂 泰広(長崎大学病院消化器内科), 木下 梨華子(長崎大学病院消化器内科), 園田 悠紀(長崎大学病院消化器内科), 原口 雅史(長崎大学病院消化器内科), 高木 裕子(長崎大学病院消化器内科), 内田 信二郎(長崎大学病院消化器内科), 妹尾 健正(長崎大学病院消化器内科), 吉村 映美(長崎大学病院消化器内科), 柴田 英貴(長崎大学病院消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院消化器内科), 三馬 聡(長崎大学病院消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院消化器内科), 阿保 貴章(長崎大学病院第一外科), 七島 篤志(長崎大学病院第一外科), 木下 直江(長崎大学病院病理部), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 【症例】47歳 男性【主訴】全身倦怠感【既往歴】13歳:虫垂炎、25歳:肺炎2003年:2型糖尿病 2005年~インスリン治療、気分障害2013年:慢性甲状腺炎、肺気腫【家族歴】父:急性心筋梗塞【生活歴】飲酒:機会飲酒、喫煙:40本/日 19歳~【現病歴】2003年より2型糖尿病にて当院代謝、内分泌内科にて外来加療を受けていたが不定期受診であった。2012年口渇、多飲、多尿、全身倦怠感、体重減少あり当院代謝内分泌内科外来受診、血糖コントロール及び教育入院目的にて当院入院となった。入院中に施行した腹部超音波検査にて肝S4の腫瘤性病変の指摘があり、当科紹介、精査加療目的にて2013年1月入院となった。【臨床経過】入院後施行した検査結果では、各種ウィルスマーカー、肝炎マーカーはいずれも陰性、腫瘍マーカーはAFP4.1は正常範囲内であったが、PIVKA-IIは51と軽度上昇を認めていた。腹部造影CTでは、肝S4に動脈相で早期濃染を示すも門脈相、平衡相では描出されない径10mm大の単発病変を認めた。EOB-MRIにおいて同病変はT1WIで軽度低信号、T2WI、DWIで高信号を示し、造影dynamic studyでは早期濃染、後期相では病変は明らかでなくなるものの、肝細胞相では取り込み低下域として認められた。腹部造影超音波検査ではKupffer相で明瞭な欠損域として指摘された。以上より肝細胞癌と診断、単発の病変で肝予備能・全身状態に問題が無かったことより外科的治療を選択した。2月に腹腔鏡補助下肝S4切除術を施行。術後経過は良好で術後13日目に退院となった。病変の組織所見は摘出部位に7mm大の線維化巣を認めるのみであり、腫瘍性病変は認めなかった。【考察】今回我々は、術前の画像検査にて肝細胞癌との鑑別が困難である線維化病巣を経験した。肝の線維化病巣について、若干の考察を加え報告する。
索引用語 肝線維化病巣, 偽病変