セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専71:

非機能性膵神経内分泌腫瘍に合併したOccult gastrinomaの1例

演者 八木 泰佑(熊本大学消化器外科)
共同演者 阿部 真也(熊本大学消化器外科), 橋本 大輔(熊本大学消化器外科), 近本 亮(熊本大学消化器外科), 今井 克憲(熊本大学消化器外科), 新田 英利(熊本大学消化器外科), 林 洋光(熊本大学消化器外科), 山尾 宣暢(熊本大学消化器外科), 古閑 悠輝(熊本大学消化器外科), 塚本 雅代(熊本大学消化器外科), 清水 健次(熊本大学消化器外科), 石河 隆敏(熊本大学消化器外科), 別府 透(熊本大学消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大学消化器外科)
抄録 【はじめに】Gastrinomaは膵内分泌腫瘍の8.6%を占め、その悪性率は45.5%とされる。また非機能性膵内分泌腫瘍は、膵内分泌腫瘍の47.7%を占め、その悪性率は46.1%とされる。膵消化管内分泌腫瘍の唯一の根治的治療は外科的切除であり、正確な術前診断に基づいた術式選択が必要となる。今回、術式選択に苦慮した症例を経験したため、報告する。【症例】62歳女性。糖尿病のコントロール目的に入院。造影CTにて膵尾部に8mm大の多血性腫瘤を認め、膵内分泌腫瘍が疑われた。血液検査では高Gastrin血症を認めGastrinomaが疑われた。上部消化管内視鏡検査では消化性潰瘍の所見はなく、十二指腸にも腫瘤は指摘できなかった。選択的動脈刺激静脈サンプリング(ASVS)を施行したところ胃十二指腸動脈領域で血清Gastrin値の上昇を認めた。また膵尾部領域ではGastrinを含めてホルモンの上昇は認められなかった。そのため膵尾部非機能性膵内分泌腫瘍及び膵頭部領域のOccult gastrinomaと診断した。最初に膵尾部の非機能性膵内分泌腫瘍に対して腹腔鏡下脾温存尾側膵切除術(Lap-DP)を施行し、内分泌学的再評価後に膵頭十二指腸切除(SSPPD)を行う方針とした。Lap-DPは出血量370g、手術時間288分で術中偶発症なく施行できた。小範囲の脾梗塞を認めたが、術後12日目に退院となった。病理診断はNET G1、免疫染色ではGastrin、Somatostatin、VIPは陰性、Glucagon、Pancreatic poly peptide、Insulinは少数の腫瘍細胞のみ陽性であった。術後6か月目の検査でも血清Gastrin値は高値であったため、膵頭部領域Occult gastrinomaに対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。出血量1403g、手術時間510分。術中術後合併症なく、術後17日目に退院した。病理診断ではMultiple microadenomaの所見を認めた。術後に血清Gastrin値は正常範囲内まで改善している。【考察】術式選択に苦慮した膵内分泌腫瘍の症例を経験した。画像で認識できない膵頭部領域のOccult gastrinomaに対する治療方針の確立が必要である。
索引用語 非機能性神経内分泌腫瘍, Occult gastrinoma