セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
024:エソメプラゾールを併用したヘリコバクター・ピロリ除菌の治療効果
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演者 |
猪口 薫(日本赤十字社長崎原爆諫早病院) |
共同演者 |
中尾 英人(日本赤十字社長崎原爆諫早病院), 古河 隆二(日本赤十字社長崎原爆諫早病院) |
抄録 |
【背景、目的】消化性潰瘍に加え2013年2月から胃癌の発癌抑制を目的として萎縮性胃炎に対するヘリコバクターピロリ菌(HP)除菌療法が保険適応となったが、一方抗生剤耐性HPの増加による除菌率低下が問題となっている。エソメプラゾール(EPZ)は従来のPPIに比し強力な制酸効果を持ち、併用による除菌率の向上が期待される。今回我々はEPZ併用HP除菌治療の効果につき検討を行った。【対象、方法】2012年5月~2013年7月までに消化性潰瘍または萎縮性胃炎と診断されHP陽性が確認された患者でEPZ併用除菌治療(クラリスロマイシンCM 800mg/day、アモキシリンAMPC 1500mg/day EPZ 40mg/day 7日間)を行った113人中、除菌治療後4W以上の経過観察後ウレアブレステストによる除菌判定を行った82例を対象とした。なお同時期に他のPPIを併用し同用量で除菌治療を行った96例中同様の解析可能であった78例と比較を行った。【成績】EPZ併用除菌療法では、82例中72例(87.8%)で除菌が確認された。男女、年齢、基礎疾患による除菌率を比較したが有意な差は見られなかった。一方他のPPI併用例では78例中51例(65.4%)の除菌に留まりEPZ併用群が有意に除菌率が高かった。【考按】日本HP学会耐性菌サーベイランス委員会は2011年度ではCMに対し38.5%、AMPCに対し21.9%のHPが耐性を示すと報告している。従来のPPI併用のHP一次除菌率はこれに一致しているものと考えられる。一方EPZ併用ではそれを上回る高い除菌率が得られた。EPZは強力な胃酸抑制により有意に胃内PHを高く保つと報告されている。これにより抗生剤特にCMの分子構造が安定し高い胃内濃度が保たれることが除菌率向上の原因ではないかと考えられた。【まとめ】HP除菌療法については併用するPPIにより除菌効果に差がみられた。治療に当たってはPPIの選択にも考慮が必要と考えられた。 |
索引用語 |
ヘリコバクター, 除菌治療 |