セッション情報 シンポジウム1「高齢者に対する消化器病診療と今後の展望(消化管、肝胆膵)」

タイトル S1-06:

当院における高齢者の大腸憩室出血63例の検討 ~特に抗血栓薬服用の臨床的影響について~

演者 原口 和大(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター)
共同演者 鶴田 伸一(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 野崎 哲史(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 山口 恵梨子(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 柿ヶ尾 佳奈(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 中村 吏(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 畑 佳孝(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 藤森 尚(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 大橋 朋子(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 麻生 暁(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 隅田 頼信(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 國府島 庸之(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 吉本 剛志(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 河邉 顕(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 福泉 公仁隆(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 中牟田 誠(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 松浦 秀司(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 原田 直彦(国立病院機構 九州医療センター 消化器センターDELIMITER国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター), 中村 和彦(九州大学大学院 病態制御内科)
抄録 【目的】近年の高齢者人口の増加に伴い、抗血栓薬服用者数は年々増加している。大腸憩室出血に遭遇する機会が増え、短期間に再出血を繰返し、治療に難渋することもしばしば経験する。今回、当院での高齢者の大腸憩室出血例を後ろ向きに検討し、特に抗血栓薬服用の背景や臨床的影響について検討した。【方法】当院で2006年4月から2013年7月までに大腸憩室出血の診断で入院加療した65歳以上の高齢者63例を対象とし、年齢、性別、出血部位、治療法、抗血栓薬服用の有無、抗血栓薬服用の原疾患、臨床経過等について検討した。【結果】高齢者の大腸憩室出血63例のうち、前期高齢者(65-74歳)は28例(44%)で、後期高齢者(75-84歳)は25例(40%)であった。また、超高齢者は10例(16%)であった。性別は男性50例(79%)、女性13例(21%)で約8割が男性であった。出血部位は上行結腸が25例と最多で、続いてS状結腸15例、内視鏡観察時自然止血のため部位不明は18例であった。治療法は、保存的加療38例、内視鏡的止血術24例(クリッピング単独20例、クリッピング+HSE 4例)、IVRによる血管塞栓術 1例であった。抗血栓薬服用者は25例(40%)で、内訳は抗血小板薬のみが17例、抗凝固薬のみが5例、抗血小板薬と抗凝固薬併用が3例であった。血栓薬服用の原疾患は、虚血性心疾患が10例(内、冠動脈ステント術後5例)と最多で、心房細動が7例、脳梗塞後遺症、一過性脳虚血発作、内頚動脈狭窄症がそれぞれ2例であった。61例は最終的に軽快したが、1例に抗凝固薬休薬2ヶ月後に脳梗塞発症、1例に心不全、腎不全増悪による死亡を認めた。【結語】高齢者は心血管系の合併症を有する割合が高く、本検討ではおよそ4割が抗血栓薬服用者であり、多量出血や繰り返す出血のため、輸血や複数回の内視鏡検査、内視鏡的止血術を要する重症例も多くみられた。抗血栓薬服用中の高齢者は、重症化する可能性を十分念頭に入れ、循環動態の安定が得られれば、良好な前処置やCO2送気の使用等による侵襲性の少ない内視鏡的止血術を積極的に試みる必要性があると考えられた。
索引用語 大腸憩室出血, 高齢者