セッション情報 シンポジウム1「高齢者に対する消化器病診療と今後の展望(消化管、肝胆膵)」

タイトル S1-04:

高齢者における大腸スクリーニングとしてのCT colonography

演者 本田 徹郎(長崎県上五島病院)
共同演者 安田 貴明(長崎県上五島病院), 山口 将太(長崎県上五島病院), 川崎 寛子(長崎県上五島病院), 八坂 貴宏(長崎県上五島病院), 白濱 敏(長崎県有川医療センター)
抄録 【目的】近年、大腸がん罹患年齢の高齢化が進んでおり高齢者といえども大腸がんスクリーニングが必要な時代である。しかし、下剤の服用や挿入困難を含め内視鏡検査の実施に困難をしめす症例も多く課題がある。CT colonography(CTC)は検査が比較的簡便であるため受容性が良好であり、前処置に造影剤によるタギングを行うため残液・残渣がある大腸内の精査も可能である。最近はCTCの前処置の軽減も進んでおり高齢者における大腸スクリーニングとしての役割を担う可能性を持っている。高齢者におけるCTCの検査精度についての報告は少なく、今回、精度検証を行ったので報告する。【方法】2008年4月から2013年8月まで当院で大腸内視鏡検査(CS)を予定した患者に対してCTCを施行した症例で年齢75歳以上の方を対象とした。対象とする病変はサイズが6mm以上で内視鏡的または病理学的にadenomaならびにadenocarcinomaと診断されたものとした。解析方法はCSをゴールドスタンダードとして病変ベースまたは症例ベースに感度、特異度、陽性適中率(PPV)および陰性適中率(NPV)を算出した。CT装置は16列MSCT、送気にはCO2を使用し、前処置には水溶性造影剤によるタギングを行った。読影はトレーニングを受けた消化器内科医または放射線技師が行った。【結果】対象は163例(男性71例、女性92例、平均年齢79.2歳)。21病変の大腸癌(腺腫内癌も含む)、76病変の腺腫(6 mm以上)を認めた。病変ベースの精度は10mm以上の病変(n=50)において感度86%、PPV100%、6mm以上の病変(n=97) において感度78%、PPV86%であった。症例ベースの感度、特異度、PPV、NPVは10mm以上で89%、99%、97%、97%であり、6mm以上で91%、94%、88%、95%であった。【結論】水溶性造影剤によるタギング前処置で行ったCTCは高齢者においても良好な精度を示し、効果的なトリアージ法となる可能性が高い。今後、高齢者の大腸スクリーニングとしてのモダリティとして活用していけるものと考える。
索引用語 CT colonography, CTC