セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 006:ジルチアゼムが有効であった胃食道接合部通過障害 (esophagogastric junction outflow obstruction: EGJ outflow obstruction) 1症例 |
演者 | 牟田 和正(九州大学病院) |
共同演者 | 伊原 栄吉(九州大学病院), 白 暁鵬(九州大学病院), 徳丸 佳世(九州大学病院), 府川 恭子(九州大学病院), 澤村 紀子(九州大学病院), 深浦 啓太(九州大学病院), 田中 義将(九州大学病院), 小森 圭司(九州大学病院), 小副川 敬(九州大学病院), 井星 陽一郎(九州大学病院), 岩佐 勉(九州大学病院), 後藤 綾子(九州大学病院), 中村 和彦(九州大学病院), 高柳 涼一(九州大学病院) |
抄録 | 症例は51歳男性。201x年1月頃から摂食時に嚥下困難感、胸のつかえ感が出現。その後、症状は徐々に増悪し、食後の嘔吐を認めるようになった。近医で施行された上部消化管内視鏡検査では症状の原因となる器質的異常所見は認めず、対症療法として制吐剤を処方されたが症状は改善しなかった。201x年2月、精査と加療目的にて当院紹介となった。 来院時、嚥下困難感及び胸のつかえ感を認め、F-scaleは30点(<8)と高値であった。食道運動異常症を疑って、高解像度食道内圧検査(high-resolution manometry:HRM)を施行した。その結果、IRP (Integrated relaxation pressure) は、20.2 mmHg(<15)と高値を認め、下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)の弛緩不全を認めた。DCI(distal contractile integral)は、 3939.2mmHg/s/cmとやや高値を示しているものの、食道体部の蠕動運動は正常に保たれていた。以上よりシカゴ分類による胃食道接合部通過障害(EGJ-Outflow Obstruction)と診断した。同疾患が上記症状を引き起こしている可能性が強く疑われたため、LES弛緩不全を改善する効果を期待し、Ca2+-blockerであるジルチアゼム(100mg)を投与した。 2ヶ月後、自覚症状は著明に改善し、F-scaleは11点であった。またHRMでは、IRPは 10mmHgと正常値となり、DCIも 2506.5 mmHg/s/cmと低下した。 EGJ Outflow Obstructionは2011年に発表されたシカゴ分類の中で提唱された新しい疾患概念であり、食道アカラシアのサブタイプとも考えられている疾患であり、治療法は確立していない。今回、Ca2+-blockerが奏功したEGJ outflow obstructionの1症例を経験したので、若干の文献的考察を加え加え報告する。 |
索引用語 | 胃食道接合部通過障害, 高解像度食道内圧検査 |