セッション情報 ワークショップ4「炎症性腸疾患 最近の治療」

タイトル WS4-14:

クローン病におけるストーマ症例の長期治療成績

演者 東 大二郎(福岡大学筑紫病院外科DELIMITER福岡大学筑紫病院IBDセンター)
共同演者 二見 喜太郎(福岡大学筑紫病院外科DELIMITER福岡大学筑紫病院IBDセンター), 石橋 由紀子(福岡大学筑紫病院外科), 前川 隆文(福岡大学筑紫病院外科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科DELIMITER福岡大学筑紫病院IBDセンター)
抄録 【はじめに】クローン病(CD)の外科治療においてストーマ造設術は以前より多用されてきた術式であるが,その有用性,重要性は現在も変わらない.適応としては直腸肛門狭窄,難治性の肛門病変,膣瘻,尿道瘻並びに肛門括約筋の破綻による便失禁例など遠位側腸管の障害や,緊急手術時,全身状態により消化管再建が困難な症例となる.さらにストーマ造設後の経過についても,閉鎖可能か否か一時的か永久的であるか閉鎖できるか否かの問題,またストーマ部に再発がみられることもあり,その管理は重要である.今回当科におけるCDストーマ症例を造設までの経過,その後の長期成績を検討したので報告する.【対象・方法】当科でストーマを造設したCD患者140例を対象として,ストーマ造設に至る病態,造設後の経過について検討を行なった.【結果】男女比は93対47,ストーマ造設時の平均年齢は34.6歳,造設後の平均観察期間は86.2ヶ月で,ストーマ造設の理由をみると肛門(骨盤内)26.4%,腸病変46.4%,腸病変+肛門病変21.4%,癌合併5.7%であり,累積のストーマ造設率をみると10年11.7%,20年34.5%であった.造設後の経過では癌症例8例を除く132例のうち46例(34.8%)がストーマ閉鎖を行っており,86例(65.2%)が非閉鎖例であった.閉鎖症例のストーマ造設時の原因病変は腸管であることが圧倒的に多く(89.1%),非閉鎖例では原因が肛門病変であった症例が多数(70.9%)で,肛門病変を原因としたストーマ造設の場合は閉鎖が困難であるという結果であった.ストーマ造設後の再手術を56例96回行っているがそのうちストーマ関連の手術は35例(36.5%)で,ストーマ造設後も管理が重要である。またストーマ症例の中でも直腸切断術は35例に施行していた.理由としては癌合併10例(28.6%),難治性直腸肛門部病変25例(71.4%)であった.【結語】長期経過例,難治例,直腸肛門部癌の増加とともにストーマ適応症例が増加している.造設後はストーマ部再発を含めた管理が重要である.
索引用語 クローン病, ストーマ