セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専55:

ソラフェニブの長期投与が可能であった肝細胞癌の2症例と長期投与に寄与する因子の検討

演者 辻 千賀(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科)
共同演者 蒲池 紗央里(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科), 中下 俊哉(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科), 岡田 倫明(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科), 大枝 敏(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科), 井手 康史(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科), 大塚 大河(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科), 河口 康典(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科), 江口 有一朗(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科), 尾崎 岩太(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科), 水田 敏彦(佐賀大学医学部附属病院 肝臓糖尿病内分泌内科)
抄録 【はじめに】ソラフェニブ(Sor)は長期に投与継続することにより進行肝細胞癌(HCC)の生命予後改善効果が期待される薬剤であるが、手足症候群をはじめとする有害事象やHCC増大により内服中止となる例を多く認める。今回長期投与可能であった2症例を呈示するとともに、長期投与に寄与する因子について検討を行った。【症例1】76歳男性。TACE3回、TAI1回、RFA1回の治療歴のあるHCC (stage2,BCLC stage B)に対して、2011年5月よりSor 800mg/day投与開始。開始時Child-Pugh 6点/A、AFP 4.3 ng/ml (L3 12.3%)、PIVKA-EI 842 mAU/ml。重症手足症候群にて一時休薬になるも症状改善後は400mg/dayにて現在まで(14.5ヶ月)投与継続可能であった。投与中は造影CTにてHCC早期濃染消失と腫瘍マーカーの正常化を認めた。【症例2】55歳男性。拡大背側前区域切除術、肝S3亜区域切除術の治療歴があるHCC (stage 4B, BCLC stage C)に対して2010年6月よりSor 800mg/day投与開始。開始時Child-Pugh 5点/A、AFP 1.1 ng/ml (L3< 0.5%)、PIVKA-EI 2485 mAU/ml。手足症候群出現により400mg/dayに減量したが投与継続可能であり、2012年10月に自宅での死亡が確認されるまで(28.3ヶ月間)投与可能であった。【対象と方法】当院でSor投与を行った20例を6ヶ月以上投与可能であった10例(長期投与群)と6ヶ月未満の10例(短期投与群)に分類。両群のSor投与開始時の背景因子について比較検討した。【結果】長期投与群では短期投与群に比較して前治療歴が有意に少なく(3回vs. 7回、p=0.03)、AFP値も有意に低かった(35 vs. 7126 ng/ml、p=0.008)。【結論】Sor投与開始までの治療回数とAFP値が長期投与に関連し、更には生存期間にも影響を及ぼす可能性が示唆された。
索引用語 ソラフェニブ, 長期投与