セッション情報 一般演題

タイトル 069:

C型慢性肝炎に対する3剤併用療法中にDIHSを来した一例

演者 楠元 寿典(古賀総合病院内科)
共同演者 落合 俊雅(古賀総合病院内科), 津守 伸一郎(古賀総合病院皮膚科), 帖佐 宣昭(古賀総合病院皮膚科), 松岡 均(古賀総合病院内科), 永田 賢治(宮崎大学肝疾患センター), 下田 和哉(宮崎大学消化器血液学), 緒方 克己(古賀総合病院皮膚科), 今村 卓郎(古賀総合病院内科)
抄録 【はじめに】薬剤過敏症症候群 DIHS(drug-induced hypersensitivity syndrome)は、高熱と臓器障害を伴う薬疹で、医薬品中止後も遷延し発症2~3週後にHHV-6の再活性化を生じる。3剤併用療法では半数以上に皮膚障害を生じ、 5-7%にグレード3の皮膚障害を 、1%未満にDIHS/DRESS/SJSなどの重症薬疹が報告されている。【症例】69歳女性、主訴:皮疹、発熱、倦怠感。現病歴 2007年にPEG-IFNα2b+リバビリン(RBV)併用療法を受けたが、持続的ウイルス消失(SVR)は得られなかった。この際に皮疹はなかった。2012年9月から 3剤併用療法(PEG-IFNα2b 80μg/週 RBV 600mg/日 テラプレビル(TVR) 1500mg/日)を開始した。3週目から注射部位を中心にグレード1(体表面積の50%以下(限局性))の皮疹が出現し、Mediumステロイド外用で対処し皮疹は改善した。8週目から腹部、背部にグレード2(体表面積の50%以下(多発性/びまん性))の皮疹が出現したため、治療薬の減量と経口ステロイド薬(プレドニゾロン20mg)、抗ヒスタミン薬の内服、Strongestステロイド外用を行ったが増悪した。11週目にはグレード3(病変が体表面積の50%を超え、皮膚、粘膜、眼、全身症状を伴う)の皮疹が出現し、発熱と倦怠感が増強したため、3剤併用療法を中止し入院となった。白血球数5500/mm3、異形リンパ球6.5%、好酸球27.5%と増加。肝機能障害はなかったが、クレアチニンは軽度上昇し、ペア血清でHHV6-IgG抗体価が4倍以上となり、非特異的DIHSと診断した。入院後ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン500mg/日 3日間点滴)を行ったところ、症状は速やかに改善した。ステロイド減量時に症状の再燃を認めたが、ステロイド増量で対処し徐々に改善した。3剤併用療法中止後もHCVRNAは持続陰性で経過し、最終的にSVRが得られた。【結語】C型慢性肝炎に対する3剤併用療法中にDIHSを来した症例を経験した。治療後期に出現する皮疹、発熱、好酸球増多は診断に有用で、皮膚科との密な連携が診断と治療に有用であった。
索引用語 C型慢性肝炎, 薬剤過敏症症候群