セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専22:

胃内穿破をきたした膵仮性嚢胞内出血の一例

演者 原田 英(福岡赤十字病院)
共同演者 平川 克哉(福岡赤十字病院)
抄録 福岡赤十字病院 消化器内科 原田英、田中貴英、川本徹、藤岡審、藤田恒平、平川克哉福岡赤十字病院 放射線科井上昭宏、盧徳鉉62歳男性。大量飲酒のため50歳代よりアルコール性膵炎で入退院を繰りかえしていた。2013年*月*日突然の吐血で近医へ救急搬送され、来院時shock vitalでHb. 6 g/dl台と高度の貧血を認めた。腹部造影CTにて胃内に多量の血液貯留、及び、それに接した膵尾部の巨大な仮性嚢胞(65×50mm)を認めた。緊急上部内視鏡検査にて、胃体部後壁側に巨大な壁外性圧排と多量の血液貯留を認め、同日中に当院へ転院搬送となった。膵仮性嚢胞内出血の胃内破裂を疑い、ただちに緊急血管造影を実施したが、出血源は不明であった。しかし、翌日に再度の吐血後にshock vitalとなり、腹部造影CTで脾門部近傍の脾動脈本幹から尾側に突出する4mm大の仮性動脈瘤から造影剤の血管外漏出が認められたため、緊急血管造影を施行してコイルによる塞栓術を実施した。その後は再出血を認めず、約2週間絶食の後に上部消化管内視鏡検査を施行、胃体部大弯側を中心とした既知の壁外性圧排の粘膜面に瘻孔と思われる深い陥凹を認めた。また、上部消化管X線造影で体中部大弯から管外に突出する陰影を認め、仮性膵嚢胞と交通する瘻孔と考えられた。経過観察の腹部造影CTでは、膵仮性嚢胞は30x30mmまで縮小していた。禁酒とPPI内服を継続し、現在は当科外来にて経過観察中である。膵仮性嚢胞内出血は救命率の低い重篤な病態であるが、消化管への穿破により消化管出血にて発症することもあり、消化管出血の原因疾患として念頭おく必要がある。また、自験例は緊急IVRにより救命し得た貴重な症例と考えられる。
索引用語 消化管出血, 膵仮性嚢胞