セッション情報 一般演題

タイトル 068:

メソトレキセート加療中の関節リウマチを合併したHBVキャリア離脱期B型肝炎の1例

演者 正 宏樹(大分大学医学部付属病院消化器内科)
共同演者 織部 淳哉(大分大学医学部付属病院消化器内科), 岩尾 正雄(大分大学医学部付属病院消化器内科), 所 征範(大分大学医学部付属病院消化器内科), 吉原 光江(大分大学医学部付属病院消化器内科), 西村 順子(大分大学医学部付属病院消化器内科), 遠藤 美月(大分大学医学部付属病院消化器内科), 本田 浩一(大分大学医学部付属病院消化器内科), 清家 正隆(大分大学医学部付属病院消化器内科), 村上 和成(大分大学医学部付属病院消化器内科)
抄録 【症例】54歳、男性で、2005年からメソトレキセート(MTX)による関節リウマチ(RA)で加療中であった。2010年夏頃から、肝障害を認め、2011年4月、AST 70 IU/L、ALT 133 IU/Lと肝障害が増悪し当科を紹介された。HBs抗原陽性、HBe抗体陽性、HBV DNA 3.3 log copies/mlと陽性であった。腹部エコー上脂肪肝の所見であった。HBVによる肝障害は否定的であったため、核酸アナログは投与せず外来にて経過観察した。2011年7月ALTは151 IU/Lに上昇した、2013年3月まで上昇していたが、7月にALT41.1 IU/Lとほぼ正常化した。HBV DNAの著しい変動はなかったが、2011年5月、HBs抗原は定量で62.6IU/ml,その後徐々に低下し、2013年、7月、3.8 IU/mlと低下し、HBV DNAも2.1 log copies/ml未満に徐々に低下した。HBcrAgは2.0 log copies/mlと低かった。腫瘍マーカーは経過中正常であったが、2012年4月から上昇し、AFP値は63.3ng/mlをピークに現在は低下傾向である。【考察】HBV感染症でウイルス血症をともなったRA合併B型キャリアの症例である。本症例の問題点はHBVの管理を行わずにMTXを投与中していたことである。HBV感染症では再活性化が問題となっており、肝臓専門医の管理が必須である。興味ある点は、MTX投与中にもかかわらず、HBs抗原消失期になった。AFP上昇が見られ、発癌についてのサーベイランスが必要であるが、HBs抗原の定量が経過観察に有用であった。HBV活性化の問題のため、本症例の核酸アナログ投与は意見の分かれるところであるが、肝障害の原因を慎重に鑑別し、核酸アナログ投与はケースバイケースで対応すべきである。HBV感染症離脱期における管理について示唆に富む症例であり、文献的考察も含め報告する。
索引用語 HBV, De novo 肝炎