セッション情報 | ワークショップ4「炎症性腸疾患 最近の治療」 |
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タイトル | WS4-08:クローン病患者における生物学的製剤療法の手術率への影響 |
演者 | 上村 修司(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
共同演者 | 沼田 政嗣(鹿児島大学病院 光学医療診療部), 鮫島 洋一(今村病院 消化器内科), 小野 陽平(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 瀬戸山 仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 船川 慶太(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 大井 秀久(今村病院 消化器内科), 児玉 眞由美(宮崎医療センター病院 消化器内科), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
抄録 | 背景:2002年にクローン病に対して生物学的製剤(以下bio)の投与が保険上認められるようになり、これまで内科的治療に抵抗性であった症例に対しても高い治療効果が得られるようになったが、bioが外科的加療を減少させたか否かは明らかではない。そこで我々は長期観察可能であったクローン病患者において初回治療と再手術率の実施率に及ぼすbioの影響について検討した。対象と方法:1980年1月から2012年12月までに当科および関連施設でクローン病と診断された221例を対象とし、(1)患者背景、(2)年代別累積初回手術率、(3)手術に関与する因子の検討、(4)bio有無による累積手術率を検討した。結果:(1)221例の中で5年以上経過観察可能であった176例を解析した。男女比は113:63、発症年齢 (平均±SD)は23.8±9.2歳、罹病期間は16.3±7.7年、病型は小腸型23.3%、大腸型9.0%、小腸大腸型67.6%であった。治療法として、5ASA製剤89.2%、ステロイド2.8%、免疫調整剤38.6%、栄養量法65.9%とbioは38.6%に使用されていた。特に2002年以降に発症した群(以下後期群)では2001年以前の発症群(以下前期群)と比較し、免疫調整剤(53.7%)とbio(51.9%)の投与率が有意に導入率が高かった。(2)前期群の5年累積手術率は29.2%で、後期群は20.8%と有意差はなかったが、後期群が少ない傾向であった。(3)手術に関与する因子を多変量解析で解析したところ、bioの有無だけに有意差を認めた。(4)患者背景をマッチングさせた症例の5年累積手術率はbio非投与群が30.0%、投与群が17.7%と有意に手術率を低下させた。再手術率も同様の結果であった(52.4% vs 16.7%)。結語:bioは、既存の治療抵抗例に多く導入されており、クローン病の手術率を減少させた。Bioの早期導入により、長期にわたってQOLの改善が得られる可能性が示唆された。 |
索引用語 | クローン病, 生物学的製剤 |