セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研31:

移動性盲腸により左下腹部痛にて発症した急性虫垂炎の1例

演者 向坂 秀人(福岡大学)
共同演者 萱嶋 善行(福岡大学消化器内科), 渡邉 隆(福岡大学消化器内科), 久能 宣昭(福岡大学消化器内科), 阿部 光一(福岡大学消化器内科), 池田 憲治(福岡大学消化器内科), 石橋 英樹(福岡大学消化器内科), 冨岡 禎隆(福岡大学消化器内科), 江口 浩一(福岡大学消化器内科), 青柳 邦彦(福岡大学消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学消化器内科), 工藤 仁隆(福岡大学), 甲斐田 大貴(福岡大学消化器外科), 石井 文規(福岡大学消化器外科), 小島 大望(福岡大学消化器外科), 山本 希治(福岡大学消化器外科), 乗富 智明(福岡大学消化器外科)
抄録 症例は70歳代女性。元来健康で腹部手術歴はなし。2013年4月、便秘の精査目的に当科入院となった。下部消化管内視鏡検査を施行し、上行結腸に憩室の散在と内痔核を認めるのみであった。検査後も腹部症状なく経過していたが、入院4日目に左下腹部を中心に腹痛が出現した。同部位に軽度の圧痛を認めるも反跳痛なく、また、McBurney点、Lanz点にも圧痛、反跳痛を認めなかった。その後、左下腹部痛が増強し、腹膜刺激症状が出現した。腹部単純CT検査にて回盲部が骨盤内に移動し、虫垂先端は左下腹部へ向いていた。以上の所見より移動性盲腸を伴う急性虫垂炎と診断し手術となった。開腹時、盲腸は左側に大きく偏位、腫大した虫垂が屈曲し、盲腸に癒着していた。虫垂切除術および腹腔内洗浄ドレナージ術が施行され、術後経過は良好で術後13日目に退院となった。今回、左下腹部痛にて発症した急性虫垂炎の1例を経験した。急性虫垂炎は、右下腹部痛で発症しMcBurney点、Lanz点の圧痛が特徴的といわれているが、本症例のように移動性盲腸により圧痛点が偏位している場合がある。左下腹部痛とはいえど、本症例のような移動性盲腸による虫垂炎の例もあり、急性腹症の鑑別として常に念頭におく必要がある。
索引用語 急性虫垂炎, 移動盲腸