セッション情報 一般演題

タイトル 088:

両下腿浮腫をきたした巨大肝嚢胞の一例

演者 今村 祥子(聖フランシスコ病院 内科)
共同演者 山崎 和文(聖フランシスコ病院 内科), 赤司 太郎(聖フランシスコ病院 内科), 磯本 一郎(聖フランシスコ病院 放射線科), 竹島 史直(長崎大学病院 消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科)
抄録 〈症例〉82歳、男性〈主訴〉下肢の浮腫〈既往歴〉特記事項なし〈現病歴〉生来健康であった。20年ほど前に医療機関で肝嚢胞を指摘されたことがあった。2012年10月に頭痛を主訴に前医を受診し右季肋部膨隆、下腿浮腫を指摘された。腹部膨満感、下腿浮腫の増強が徐々にみられるようになり2013年2月初旬に当院を紹介受診した。受診時の血液検査上は特記すべき異常は認められなかったが腹部CTにて肝右葉全体を占める21×18×16cm大の嚢胞を認め、同病変は下大静脈を圧排していた。精査加療目的で4月X日に当科入院となった。腹部造影CT,腹部造影MRIを撮影し画像上、嚢胞内に出血や悪性を示唆する所見はみられず下肢静脈エコーにでも血栓形成は認められなかった。入院3日目にエコーガイド下に嚢胞穿刺を施行しチョコレート色の内溶液を3900ml排液した。嚢胞内を洗浄し2回に渡ってMINO200mg/回による硬化療法を行い、下大静脈の圧排の消失と嚢胞の縮小を認めたため入院11日目に退院となった。治療1か月後から再び下腿の浮腫の出現を認め、腹部CT上嚢胞は再び増大を認めた。このため、初回治療から50日後にオレイン酸モノエタノールアミンを用いて硬化療法を施行した。10日後に胸部圧迫感を認めたため腹部CTを撮影したところ嚢胞の増大を認めたため、嚢胞内にドレナージカテーテルを留置し持続排液を行った。約1週間後にMINOを用いた硬化療法を2回行い、嚢胞の縮小を確認して当科退院となった。治療後1か月後の腹部CTでは嚢胞の大きさに変化はみられず外来経過観察中である。〈まとめ〉肝嚢胞の多くは良性であり、治療対象とならないが症状を有する症例に対する治療法に確立されたものはない。本症例は複数回以上の治療を要した。当院で経験した巨大な肝嚢胞2症例との比較を交えて文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝嚢胞, 下腿浮腫