セッション情報 一般演題

タイトル 002:

胃に浸潤さらに穿通し巨大な後腹膜膿瘍を形成した食道扁平上皮癌の一例

演者 仁保 宏二郎(福岡市立病院機構 福岡市民病院 消化器センター内科)
共同演者 山田 真梨子(福岡市立病院機構 福岡市民病院 消化器センター内科), 伊集 守知(福岡市立病院機構 福岡市民病院 消化器センター内科), 東 貴寛(福岡市立病院機構 福岡市民病院 消化器センター外科), 遠藤 和也(福岡市立病院機構 福岡市民病院 消化器センター外科), 富川 盛雅(福岡市立病院機構 福岡市民病院 消化器センター外科), 松浦 由布子(福岡市民病院 放射線科), 森田 孝一郎(福岡市民病院 放射線科), 永尾 英毅(福岡市民病院 放射線科), 吉田 喜策(福岡市民病院 放射線科), 是永 大輔(福岡市立病院機構 福岡市民病院 消化器センター外科), 瀧澤 延喜(九州大学大学院 医学研究院 形態機能病理学), 平橋 美奈子(九州大学大学院 医学研究院 形態機能病理学), 相島 慎一(九州大学大学院 医学研究院 形態機能病理学), 小田 義直(九州大学大学院 医学研究院 形態機能病理学)
抄録 症例は64歳男性.一カ月前より食事のつかえ感を自覚していた.某日吐血し前医を受診,上部消化管内視鏡検査(EGD)にて胃内に大量の血液を認めるも出血源を特定できず精査加療目的に当院へ搬送された.造影CTにて噴門直下から胃体上部小弯にかけて胃壁の構造が不明瞭となり,後腹膜に伸展する66mm x 44mm大の辺縁が増強される腫瘤と連続していた.腫瘤内部はCT値より腫瘍性病変,膿瘍等より二次的に形成された血腫が疑われた.著明な貧血の進行を認めたため緊急にEGDを実施した.EG junctionより約3cm口側の胸部下部食道から胃体上部小弯後壁に連続する不整な潰瘍を認めたが,胃内には血液,凝血塊が多量のため,出血点の同定,止血術の施行は困難であった.血管造影検査(IVR)を実施したところ,左胃動脈の分枝から腫瘤内への造影剤の血管外漏出を認め,塞栓術を施行した.翌日EGDを施行し止血を確認したが,胃体上部後壁大弯側に更に巨大な深掘れの潰瘍を認め,出血源と考えられた.CTで指摘された後腹膜の腫瘤に連続する潰瘍と考えられ,第一に胃癌を疑い,悪性リンパ腫や粘膜下腫瘍等が鑑別として考えられた.不整な潰瘍辺縁より生検したところ,低分化腺癌疑いと診断された.その後第6病日未明に再出血し,再度塞栓術を施行し止血した.再々出血の可能性が高いと判断し,第8病日に胃全摘,膵体尾部,脾合併切除術を施行した.切除病変では胃体上部後壁に大きな潰瘍を認め,そこから後腹膜に伸展する巨大な膿瘍を形成していた.病理組織学的には胸部下部食道から体上部小弯後壁に連続する不整形の潰瘍および後腹膜の膿瘍には高~低分化扁平上皮癌を認め,膵体尾部の軟部組織まで浸潤していた.今回我々は食道扁平上皮癌の胃浸潤および穿通し後腹膜に巨大な膿瘍を形成し,さらに高度の出血を来した症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 食道扁平上皮癌, 胃浸潤