セッション情報 | ワークショップ4「炎症性腸疾患 最近の治療」 |
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タイトル | WS4-03:潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスの短期成績 |
演者 | 冨岡 禎隆(福岡大学医学部消化器内科) |
共同演者 | 青柳 邦彦(福岡大学医学部消化器内科), 萱嶋 善行(福岡大学医学部消化器内科), 久能 宣昭(福岡大学医学部消化器内科), 池田 憲治(福岡大学医学部消化器内科), 阿部 光市(福岡大学医学部消化器内科), 石橋 英樹(福岡大学医学部消化器内科), 渡邉 隆(福岡大学医学部消化器内科), 江口 浩一(福岡大学医学部消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学医学部消化器内科), 塚本 真仁(福岡市医師会成人病センター), 船越 禎広(福岡市医師会成人病センター), 山口 真三志(福岡市医師会成人病センター) |
抄録 | 【目的】2009年に潰瘍性大腸炎に対する新たな寛解導入療法としてタクロリムス(以下TAC)が保険承認された。各施設においても徐々に症例が増えつつあるが、その数はいまだ限られており治療効果、安全性の成績は未だ少ない。今回、我々の施設で経験したTAC使用例について検討した。【対象と方法】2009年~2013年4月に当科でTACを投与した中等症・重症潰瘍性大腸炎15例21件を対象とした。平均年齢が41.1歳、男女比が6:9、病変範囲は全結腸炎型が10例、左半結腸型が4例、直腸炎型が1例であった。ステロイド抵抗例が4例、ステロイド依存例が8例、ステロイド未使用例が3例であった。これらの症例でトラフ値の推移、TAC投与30日、90日後のClinical activity index(以下CAI)、6ヶ月後の再燃例、副作用について検討した。TACの投与方法は初回投与量を原則0.1mg/kg/dayとし、3、5、7日目にトラフ値を測定し用量調節を行った。治療評価はCAIを用い、寛解は4点以下、改善は4点以下にならないが低下を認めるもの、無効はそれ以外とした。【結果】トラフ値は3日目が平均6.3ng/ml、5日目が平均11.3ng/ml、7日目が平均12.9ng/mlと5日目には高トラフ濃度に達した。TAC導入時の平均CAIは10.5、30日後は5.1、90日後は2.8、寛解率は30日後が40%、90日後が60%であった。改善まで含めた90日後の有効率は87%であった。ステロイド投与例ではステロイド投与量が導入前が平均30mgであったが90日後には平均15.9mgと減量可能であった。ステロイド未使用例3例はすべて寛解が得られた。1例が無効、1例が腫瘍合併で外科的治療を要した。残り13例中5例(38%)で6ヶ月後に再燃を認めた。4例にTAC再投与を行い2例が寛解を得られた。1例がIFXに変更、1例は白血球除去療法を行ったが寛解には至らなかった。副作用は低Mg血症を11例、振戦を4例に認めたがいずれも治療を要さなかった。1例で2回目投与時に薬疹を認め、投与中止した。【結論】TACは重症例だけでなくステロイド依存性・抵抗性中等症潰瘍性大腸炎やステロイド未使用例に対する寛解導入に関しても有用かつ比較的安全な薬剤であると考えられた。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, タクロリムス |