セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研37:

Crohn病に伴う続発性アミロイドーシスに対しジメチルスルホキシドを併用した集学的治療が奏功した1例

演者 田中 智子(佐賀大学医学部附属病院消化器内科)
共同演者 二尾 健太(佐賀大学医学部附属病院消化器内科), 山口 太輔(佐賀大学医学部附属病院消化器内科), 坂田 資尚(佐賀大学医学部附属病院消化器内科), 岩切 龍一(佐賀大学医学部附属病院光学診療部), 藤本 一眞(佐賀大学医学部附属病院消化器内科), 岸 知哉(佐賀大学医学部附属病院腎臓内科), 内橋 和芳(佐賀大学医学部附属病院病理部), 青木 茂久(佐賀大学医学部附属病院病理部)
抄録 【症例】53歳、女性。【主訴】発熱、倦怠感。【現病歴】2012年6月に発熱、全身倦怠感が出現、近医にて咽頭炎と診断され抗生剤投与を行われるも症状改善に乏しかった。その後腹痛、下痢も出現し経口摂取困難となり、発症より約1か月で著明な体重減少(55kg→45kg)を認めた。血液検査上はWBC、CRPの著明な上昇と、BUN、Crの上昇を認め急性腎不全、慢性炎症の精査加療目的に当院に紹介となった。来院時には発熱、腹痛の他、痔瘻も認め消化管の精査を行ったところ、胃十二指腸潰瘍、小腸、大腸の広範な縦走潰瘍、敷石像等を認めた。各部位の生検組織より非乾酪性類上皮肉芽腫を認め小腸大腸型Crohn病と診断した。また胃、十二指腸、回腸末端、直腸など広範囲にAA型アミロイドの沈着も認め、続発性アミロイドーシス(Amyloidosis;AMY)の合併も認めた。急性腎不全に関しては慢性下痢症、経口摂取困難であった状態による腎前性腎不全と、慢性炎症に伴う腎AMYの関与が考えられた。TPN管理下に原疾患に対してはmPSL60mg/day、インフリキシマブ(Infliximab;IFX)にて治療を開始し、続発性AMYに対してはジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide;DMSO)の投与を開始した。以後症状は徐々に改善し、血清Crも4.44mg/dlから0.97mg/dlまで改善した。以後PSLを漸減、IFX、DSMOの投与を継続し症状の再燃は認めていない。治療開始より10か月後の下部消化管内視鏡検査では潰瘍、びらんは著明に改善し、生検組織でもアミロイドは消失していた。【考察】Crohn病に続発するAMYは全身の様々な組織の障害を来し予後を左右する重大な合併症の一つである。原疾患のコントロール以外に続発性AMYに対して有効とされる治療法は少ないが、DMSOがAMYに有効であったとされる報告は複数ある。アミロイドは組織に沈着後、不可逆性の障害を来す事が示されており、発症早期よりAMYの合併の有無を診断し原疾患の治療と伴に、DMSOを併用する事も有効な治療法の一つであると考えられる。
索引用語 Crohn病, アミロイドーシス