セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 057:S状結腸に発生した脱分化型脂肪肉腫(Dedifferentiated liposarcoma)の一例 |
演者 | 今村 健太郎(福岡大学筑紫病院 消化器内科DELIMITER福岡大学筑紫病院 病理部) |
共同演者 | 高田 康道(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 高木 靖寛(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 長浜 孝(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 東 大二郎(福岡大学筑紫病院 外科), 二見 喜太郎(福岡大学筑紫病院 外科), 池田 圭祐(福岡大学筑紫病院 病理部), 田邉 寛(福岡大学筑紫病院 病理部), 太田 敦子(福岡大学筑紫病院 病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理部), 久岡 正典(産業医科大学 第一病理学教室) |
抄録 | 症例は29歳、男性。20歳頃からイレウス症状が出現、近医での精査の結果、原因不明であったが保存的加療により症状改善するため経過観察されていた。2013年1月に再度イレウス症状認め近医受診、内視鏡検査でS状結腸に狭窄を認めたため、同年2月に精査加療目的に当院紹介となった。入院時の下部消化管内視鏡検査ではS状結腸に全周性の高度狭窄を認めたが、粘膜面には異常を認めなかった。ガストログラフィンによる注腸造影では約5cmの比較的平滑な管腔狭小化として認められた。また、腹部単純X線検査で広範な小腸の著明な拡張像も認めた。小腸、大腸の内視鏡的生検組織では確定診断できず、診断的治療を目的とし狭窄したS状結腸切除術を施行した。切除標本の病理組織所見では、粘膜下層から固有筋層を主体として壁全層に核の多形性を伴った大小不同の脂肪細胞による高分化型脂肪肉腫と紡錘形を呈する異型細胞が無秩序に増殖する脱分化型脂肪肉腫組織像が混在して認められた。免疫組織化学染色ではMDM2、CDK4陽性であり脱分化型脂肪肉腫(Dedifferentiated liposarcoma)に合致する所見であった。また、所属リンパ節、遠隔転移は認めなかった。一方、小腸の拡張については、ゾンデ法小腸造影検査・経口的ダブルバルーン小腸内視鏡検査で拡張・浮腫・蠕動低下所見認めたが、術中に行った終末回腸の全層生検ではHypoganglionosisなどを示唆するAuerbach神経叢の変性、萎縮、減少は認めず、慢性偽性腸閉塞症として経過観察中である。本症例は慢性偽性腸閉塞症と脱分化型脂肪肉腫との関連は不明であるが、消化管原発の脱分化型脂肪肉腫は極めて稀であり文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 脱分化型脂肪肉腫, 慢性偽性腸閉塞症 |