セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専63:

検診を契機に6年間留置されたままのプラスチックステントの発見に至った1症例

演者 高松  悠(社会保険仲原病院)
共同演者 高岡 雄大(社会保険仲原病院), 内村 浩太郎(社会保険仲原病院), 久保 宏明(社会保険仲原病院), 大神 吉光(社会保険仲原病院), 木村 壽成(社会保険仲原病院)
抄録 【はじめに】検診をきっかけに6年間留置されたままのプラスチックステントの発見に至った症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】症例は38歳男性。2003年6月、急性胆嚢炎に対して胆嚢摘出術を行うも、肝内結石を認め、胆管炎を頻回に繰り返していた。2007年10月にESTを施行し、プラスチックステントチューブを留置したのを最後に治療からドロップアウトしていた。2013年6月3日、検診にて肝胆道系酵素の上昇を指摘されたとして当院内科を受診した。本人の自覚症状はなく、他覚所見も認めなかった。血液検査にてAST 34IU/L、ALT 49IU/L、ALP 224IU/L、γ-GTP 165IU/Lと軽度上昇していた。炎症反応は上昇を認めなかった。CTにて総胆管内にステントチューブを確認された。ERCを施行したところ、黒色に変色し、やや水分を吸ったように膨張したステントチューブを認めた。ステントを抜去した際に結石が付着したステント共に結石が排石された。バルーンカテーテルにて胆管をcleaningしたが結石を認めなかった。現在は外来にて肝胆道系酵素が低下していくのを経過観察しており、腹部症状の再燃は認めていない。【考察】一般的にプラスチックステントの交換時期は3~4ヶ月といわれている。本症例では患者本人がドロップアウトしたために6年間もの長期留置した状態となった。文献検索するとステントが長期留置されたことにより、胆管内に迷入し、胆管内異物として核となり、結石形成に至った報告例がある。一般的に急性胆管炎の治療においてENBDとERBDに病態改善に差はないがENBDの方がチューブトラブルが多いと言われている。症例に応じて判断される必要があるが、いずれも胆管内異物であることは変わらない。胆管ステント留置後は定期的に経過観察し,適切な時期に抜去するといったことを心がけるなど,治療については検討を要すると考えられた。
索引用語 急性胆管炎, 総胆管結石