セッション情報 一般演題

タイトル 073:

胃全的術後に発生した食道空腸静脈瘤に対してPTO(経皮経肝的静脈瘤塞栓術)が有効であった一例

演者 北山 素(嬉野医療センター)
共同演者 行元 崇浩(嬉野医療センター), 大石 敬之(嬉野医療センター), 磯田 広史(嬉野医療センター), 森崎 智仁(嬉野医療センター), 白石 良介(嬉野医療センター), 有尾 啓介(嬉野医療センター), 綱田 誠司(嬉野医療センター)
抄録 【はじめに】胃全摘後の静脈瘤、特に食道空腸吻合部付近の静脈瘤の発症は稀であり、また、血行動態が複雑であるため治療に難渋することが多い。今回、胃全摘術後13年の患者に発症した食道空腸静脈瘤に対して、PTOが有効であった症例を経験したので報告する。
【症例】83歳、男性。胃癌のため13年前に胃全摘術、Roux-en-Y再建術を施行。5年前頃よりC型慢性肝炎、肝硬変症の診断で近医で加療されていたが、吐下血のため当院へ紹介、緊急搬送となった。来院時は血圧52/19mmHgとショック状態でHb5.1g/dlと低下していた。緊急上部消化管内視鏡検査(EGD)で空腸から食道に連続する多数の静脈瘤(Lm、F3、Cb、RC++)を認め、食道空腸吻合部上の静脈瘤から出血を認めた。EVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)が困難であり、ヒストアクリル硬化療法で止血を行った。全身状態の改善後に血管造影検査を行ったところ、拳上空腸静脈が供血路となっていることが判明し、静脈瘤治療のためPTOを選択した。門脈P5末梢より穿刺し上腸間膜静脈を経由し第一空腸静脈より静脈瘤が造影された。バルーン閉塞下の造影で、造影剤が静脈瘤内に停滞したため、EOI( Ethanolaminoreate iopamidol)を注入し、その後ヒストアクリルで塞栓した。4週間後にEGDを施行したところ静脈瘤は退縮し、ほぼ消失していた。
【考察】胃全摘術後の食道静脈瘤は、拳上空腸の静脈が供血路となることが多く、また、本例の様に内視鏡的手技のみでは治療困難なことが多い。近年、内視鏡治療の進歩やB-RTO(バルーン下逆行性経静脈的塞栓術)の開発によりPTOを行う機会は少なくなっているが、胃全摘術後の静脈瘤に対しては、PTOは有用な選択肢となり得ると考えられる。
索引用語 PTO, 静脈瘤