セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専41:

肛門部Bowen病の一例

演者 松本 亮(長崎大学移植消化器外科)
共同演者 藤田 文彦(長崎大学移植消化器外科), 崎村  千香(長崎大学移植消化器外科), 虎島 泰洋(長崎大学移植消化器外科), 金高 賢悟(長崎大学移植消化器外科), 南 恵樹(長崎大学移植消化器外科), 高槻 光寿(長崎大学移植消化器外科), 黒木 保(長崎大学移植消化器外科), 千住 千佳子(長崎大学形成再建外科), 田中 克己(長崎大学形成再建外科), 安倍 邦子(長崎大学病院病理部), 江口 晋(長崎大学移植消化器外科)
抄録 【はじめに】Bowen病はケラチノサイト由来の扁平上皮癌の一型で、皮膚・粘膜における表皮内癌である。通常は体幹や四肢に好発し、肛門周囲での発生はまれである。肛門部Bowen病に対して局所切除を施行した一例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。【症例】70代女性 【主訴】肛門周囲びらん 【現病歴】数年前より肛門周囲にびらんが出現し、徐々に増大傾向があるため近医を受診。皮膚生検の結果Bowen病と診断され、治療目的に当院を紹介受診。【所見】肛門右側6時~12時方向に病変あり。病変肛門側は肛門輪に及んでいた。 【MRI】肛門周囲皮膚に脂肪抑制T2強調像で。高信号を呈する病変あり。病変は肛門輪に達しているが、限局している。【手術所見】全身麻酔下砕石位で手術開始。肛門部を展開し病変を確認後、粘膜側を5mm、皮膚側を10mm病変からmarginをとり電気メスにて切除した。深さは皮下脂肪組織レベルで切除。その後術中迅速病理診断で粘膜側及び皮膚側の断端陰性を確認した。皮膚粘膜欠損部は皮弁形成術にて被覆を行った。【考察】肛門周囲Bowen病の治療は局所切除が原則で腫瘍辺縁より5~10mmのmarginをとって切除する。肛門部Bowen病では排便機能の温存を考えmarginが十分でないことがありBowen病全体と比べ局所再発率が高いといわれている。しかしながら、十分なmarginをとった広範囲局所切除を行えば、十分な治療効果があるといわれており、miles術まで必要な症例は少ない。本症例でも病変は肛門縁まで及んでいたが術中迅速病理診断を用いて断端陰性であることを確認し、局所切除のみで肉眼的病変の切除が可能であった。【結語】肛門部Bowen病では、術前に病変の浸潤範囲と術式の十分な検討を行い、術中迅速病理診断を用いて安全な切除線を確保する必要があると考えられた。
索引用語 肛門部Bowen病, 肛門管腫瘍